築40年の木造家屋でも相続税がかかる謎…所得税は“実質価値ゼロ”なのに相続税は「最低20%」になる、一見不合理な「固定資産税ルール」【税理士が解説】

築40年の木造家屋でも相続税がかかる謎…所得税は“実質価値ゼロ”なのに相続税は「最低20%」になる、一見不合理な「固定資産税ルール」【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

故人から不動産を相続した場合、相続税評価上は家屋と土地を別々の財産として評価します。「家屋」の評価は一見簡単そうですが、実務で知っておくべき問題点があります。そこで本記事では、家屋とその周辺設備(附帯設備)の「価値」をどのように評価するか、その評価方法と実務上の注意点を税理士がくわしく解説します。

「20%ルール」は非合理的?…裁判の結果

原告(高裁は控訴人)Aさんは、所有権のうち8割の贈与を受けた築35年の木造家屋について、「築年数が経過しているから実際の価値は半分(0.5)くらいだろう」と考え、贈与税を下記のように求めて申告しました。

 

固定資産税評価額×0.8×0.5=贈与税額

 

これに対し、税務署長は、財産評価通達89(前掲1.(2))に基づき、この「0.5」を「1.0」に修正する更正処分を行いました。Aさんはこれを不服として裁判になりました。

 

Aさんの主な主張は、下記のとおりです。

 

(1)贈与を受けた家屋は木造(耐用年数22年)で、築後約35年を経過しているので、固定資産税評価額に掛ける倍率は「1.0」ではなく「0.5」とすべきである。

 

(2)財産評価通達は、築後約35年を経過した本件木造部分に適用する限りにおいて違法である。

 

(3)木造家屋は、所有者が使用していようがいまいが客観的価値は減少し続けるはずであり、一定期間経過後に一定の価値が残るとしても、その割合がなぜ20%なのか合理的な根拠がない。

 

(4)本件木造部分は、約15年3ヵ月もの間、空き家の状態になっている。

 

吉田課長「裁判の結果はどうなったんですか?」

 

地裁、高裁ともにAさんは敗訴しました。判決の要点は下記のとおりです。

 

〈判決文要約〉

1.最終残価率を一律20%とする理由

一定の年数が経過した家屋であっても、通常の維持補修が行われていれば、家屋としての効用を発揮できる状態にあると考えられる。

 

この場合、建物が物理的に劣化していても、人が所有し使用されている限り、なんらかの効用が期待され、価値が認められるという考え方が成り立つ。

 

最終残価率は、下記の算式で計算した割合のことをいう。

 

物理的な劣化があっても、主要構造部は家屋としての効用をかろうじて保持できていると考えられるため、家屋の構造(鉄筋コンクリート造・木造など)や用途にかかわらず、最終残価率は一律20%としている。

 

したがって、固定資産評価基準は、資産価値を把握する方法として一般的な合理性を有する。

 

2.所得税の減価償却との関係

所得税の減価償却は、減価償却資産の取得価額を、各事業年度に適切に配分することを目的としている。一方、固定資産税の経年減点補正率は、家屋が維持存続していることによって生じる効用を把握することを目的としている。

 

このように、所得税と固定資産税では、課税の趣旨や目的が異なるため、評価方法が異なっていても非合理とはいえない。

 

 

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