実質割高…築古の家屋が相続で嫌われるワケ
吉田課長「判決のような考え方が正しいのですか?」
裁判所の判断は、固定資産税の評価方法の目的に照らすと合理的だといえます。繰り返しになりますが、固定資産税における家屋の評価は、家屋そのものの物的価値だけでなく、実際に使用されていることによって生じる効用も価値として認めるという考え方に基づいています。
ただし、相続税で「20%の価値を維持する」という考え方が適用されるのは家屋だけです。家屋とは別に評価する附属設備などについては、所得税の減価償却の考え方が採用されています。
このように、築年数が長い家屋は、実際の市場価値がほとんどなくなっていても、税法上は固定資産税評価額が「20%」で下げ止まるため、実態より高い価値で課税されることがあります。
その結果、毎年支払う固定資産税だけでなく、相続や贈与があった場合の相続税・贈与税についても、新築や築浅の家屋に比べて負担が相対的に割高に感じられることがあります。
また、築年数が進むほど修繕費の負担も増えるほか、売却時も、買主が将来的な取り壊しを考えていたりすると値引きせざるを得ないケースもあります。
そのため、家屋の敷地である土地に魅力がない場合や、家屋や土地に特別な思い入れがない場合には、相続人が「相続したくない財産」と感じることも少なくありません。
“建築途中”の家屋の評価額はどうやって決まる?
吉田課長「話は変わりますが、たとえば建築主が家屋の建築途中に亡くなり、建築中の家屋を相続した場合、相続税においてその家屋の価値はどのように評価されますか?」
建築中の家屋は、相続開始時点までに投下された費用(=費用現価)の70%に相当する金額で評価します(下記1.(3))。
1.家屋
(3)建築中の家屋の評価(財産評価通達91)
課税時期において現に建築中の家屋の価額は、その家屋の費用現価の100分の70に相当する金額によって評価する。
費用現価とは、相続開始時までに実際に支払われた費用のことです。評価額を費用現価の70%とするのは、建築途中の家屋は価値が確定しにくいため、評価の過大・過小を避けるよう配慮しているためです。
具体的には、相続開始時までに支払った家屋の建設代金のほか、設計料・監理料なども費用現価になるとされています(平成10年10月26日千葉地裁、平成11年8月30日東京高裁)。

