高齢者の意欲の低下には3つの原因がある
■意欲が低下すると老化が加速する
シャキッと元気な老後を過ごすには、自分の意志で動けるうちにフレイル対策を始めることが大切です。フレイル対策でカギとなるのが「意欲の低下」を防ぐことです。
人間、意欲が低下すると、「動くのが億劫」「人に会いたくない」「ゴロゴロしていたい」と活動性が下がります。
人に会う機会が減ると、身なりにも気を使わなくなり、外見も老け込んでいきます。そうなるとますます人に会いたくなくなって社会とのつながりが薄れていきます。
体を動かさない生活が続くと筋肉量が減り、筋力が低下して足腰が衰えます。
動かないのでおなかも空かなくなり、食欲がおちて栄養不足になり、さらに筋肉がやせてしまい運動機能が低下するという負の連鎖が止まらなくなって老化に拍車がかかります。
■まだ間に合う!足し算で脳と体の衰えを予防・改善
年をとると、なぜかやる気や気力がなくなったと感じることがあります。実は意欲の低下も老化現象のひとつです。意欲の低下には主に三つの原因があります。
一つは脳の神経伝達物質であるセロトニンの減少です。セロトニンは心のバランスを整える働きがあります。加齢によりセロトニンが不足すると意欲の低下やイライラ感、うつ病を招きます。
二つめは脳の前頭葉の老化です。前頭葉は意欲や創造性をつかさどる部位で、40代、50代から衰えはじめ、60代以降に本格的に老化が進みます。前頭葉が老化すると、新しいことに挑戦する意欲や創造性が失われ、感情の切り替えがうまくいかなくなります。
たとえば、ランチは行きつけの店にしかいかないし、知らないメニューは頼まない。怒りがいつまでもおさまらない。頑固で人の意見に耳をかさないなどは前頭葉が老化しているサインです。
三つめは男性ホルモンの減少です。男性の場合、男性ホルモンが不足すると性欲が衰える、EDになる、人・社会にたいする関心が薄れる、共感力が低下する、人づきあいが億劫になる、意欲が衰える、記憶力や判断力が低下する、筋肉が減って脂肪におきかわり体形がくずれるなど心身に変調をきたします。
ここまで読んで「ダメだ、もう間に合わない」と思う人がいるかもしれませんが、心配はいりません。意欲や体力の低下は、足りないものを足すことで予防・改善できるからです。結果的にフレイルの予防・改善にもなります。
和田 秀樹
ルネクリニック東京院 院長
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