高齢者が塩分控えて低ナトリウム血症に?
■高齢者の減塩は要注意!低ナトリウム血症になれば頭がぼんやり
血圧が高い場合、塩分も引き算医療の対象になり、健診で血圧が高い値になると、すぐさま「塩分を控えましょう」と言われます。塩分のとりすぎは血圧を上げ、脳卒中や心臓病のリスクを高めるという理由からです。
40代、50代までなら塩分を控えめにするのもいいでしょう。しかし、年をとってから塩分を控え続けると、血液中のナトリウム濃度が非常に低くなる低ナトリウム血症のリスクが高まります。
低ナトリウム血症が生じる原因は、加齢による腎機能の低下です。
腎臓にはナトリウムをためおく機能がありますが、この働きが低下すると体に必要なナトリウムが尿から排泄されてしまいます。ここに塩分制限が加わると、低ナトリウム血症が生じます。
低ナトリウム血症の症状は、意識がぼんやりする意識障害、倦怠感、吐き気、疲労感、頭痛、筋肉のけいれんなどがあります。
腎機能が健康な人とそうでない人の差はありますが、医師の指示を守って真面目に塩分を控えていると、気づかないうちに低ナトリウム血症が生じ、意識障害や歩行障害による転倒や骨折のリスクも増大します。
年をとると味覚が衰えるため、塩分を控えた薄味はまずく感じることが多いようです。極端な量の塩分をとるのでなければ、薄味を我慢しないで自分がおいしいと感じる塩味で食事を味わいましょう。
■コレステロールは元気の源。高齢者は無理に下げなくていい
引き算医療ではコレステロールもやり玉にあがります。
確かにコレステロールが増えすぎると、動脈硬化を引き起こすというデメリットはあります。ハワイで実施された調査では、コレステロール値が高い人ほど、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患の死亡率は高くなると報告されています。
コレステロールを下げるメリットは、動脈硬化を遅らせることです。これはウソではありません。心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が動脈硬化を起こすと、血管の内腔が狭まったり、ふさがったりします。その結果、血液が十分に行き渡らなくなり、心臓が酸欠状態になることがあるため、薬で数値を下げたり、コレステロールを控える食事指導が行われます。
しかし、コレステロールにはメリットもたくさんあります。
コレステロールは免疫細胞や男性ホルモン、女性ホルモンを作る材料になります。コレステロール値が高いほうが、性ホルモンの分泌がいいので若さを保つこともできます。