(写真はイメージです/PIXTA)

仕事に関連するポジティブで充実した心理状態である「ワーク・エンゲージメント」。「活力」「熱意」「没頭」の3つが揃った状態と定義されています。近年の従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する取り組みのなかで、心身の不調に対する予防だけでなく、精神的にポジティブな側面を向上させることへの注目度が高くなっており、ワーク・エンゲージメントを活性化するための取り組みが始まっています。そこでニッセイ基礎研究所 村松容子氏がワーク・エンゲージメントと生産性の関係をアンケート調査から明らかにしていきます。

3―アンケート調査によるワーク・エンゲージメントと生産性の関係分析(まとめ)

今回の分析から、ワーク・エンゲージメントと生産性には正の相関があることが確認できた。ただし、ワーク・エンゲージメント等の改善と生産性の向上についての因果関係はわからず、企業がワーク・エンゲージメントを高める取り組みを行うことによって、ワーク・エンゲージメントとパフォーマンスが上がっている可能性もあれば、自分自身のパフォーマンスが上がってきたと認識することによって、ワーク・エンゲージメントが高まったり、ストレスが軽減されている可能性もある。

 

ストレス軽減など精神的不調の予防だけに注目するのではなく、精神的にポジティブな側面に注目し、向上させることは、より活力のある職場を作り、個々のパフォーマンスを上げるために有効だと思われ、従業員個人の生産性を高めることを念頭に、ワーク・エンゲージメントを高める取り組みを行う企業が増えてきている。ワーク・エンゲージメントの改善によってパフォーマンスが上がることが期待できるだけでなく、ワーク・エンゲージメントが高い人は職場には活気をもたらし、周囲の従業員についてもそれぞれのパフォーマンスは高まると考えられ、職場にとってプラスとなり得ると考えられる。

 

一方で、従業員が自分自身でパフォーマンスの向上や悪化を判断できる環境も重要だと考えられ、ワーク・エンゲージメント向上に向けた取り組みを行うと同時に、企業が従業員に求める役割や業務量について、各従業員と共有することが必要だと考えられる。また、従業員自身が、いま、自分がどういう状況で働けているかを認識できるようリテラシーを高めて、自身の状態にあわせて仕事を調整することを申し出ることができるような環境を作っていくことも重要だろう。

 

※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年11月21日に公開したレポートを転載したものです。

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