(写真はイメージです/PIXTA)

世界の株式市場は、好調な半導体関連銘柄により米国、台湾などが上昇する一方で、議会選挙で極右勢力が台頭したフランスをはじめ欧州は政治的不透明感により下落。世界経済は安定に向かうとみられるが、途上国の債務返済や貿易機会の制限のリスクに注意が必要だという。ニッセイ基礎研究所の原田哲志氏が解説する。

1―半導体関連銘柄の上昇が続く

2024年6月、グローバル株式市場は上昇した。好調な半導体関連銘柄により米国、台湾などが上昇する一方で、議会選挙で極右勢力が台頭したフランスをはじめ欧州は政治的不透明感により下落した。代表的な世界株指数(含む新興国)であるMSCI All Country World Index (MSCI ACWI)のリターンは2024年6月 +2.3%(米ドル建グロス配当込み)*1、過去1年(2023年7月-2024年6月)では+19.9%となっている(図表1)

 

先進国、新興国ともに上昇したが、新興国が先進国よりも大きく上昇した。先進国(MSCI World Index)が+2.1%、新興国(MSCI Emerging Markets Index)が+4.0%となった(図表2)

 

 

グロース・バリューでは、グロース指数(MSCI ACWI Growth Index)が+4.8%、バリュー指数(MSCI ACWI Value Index)が▲0.4%とグロース優位となった(図表3)。企業規模別では、大型株(MSCI ACWI Large Cap Index)が+2.9%、中型株(MSCI ACWI Mid Cap Index)が▲1.0%、小型株(MSCI ACWI Small Cap Index)が▲1.1%と大型株が上昇する一方で、中小型株は下落した(図表4)

 

 

*1:以下、特に断りのない限りリターンは米ドル建グロス配当込みを示す。

2―国・業種別の動向

国別に見ても多くの国が上昇した(図表5)。台湾(+12.2%)、南アフリカ(+9.4%)、韓国(+8.3%)がリターンが高かった。一方で、アルゼンチン(▲10.6%)、メキシコ(▲10.5%)、アイルランド(▲7.7%) がリターンが低かった。主要国について見ると、米国(+3.6%)、中国(▲1.9%)、ドイツ(▲1.7%) 、日本(▲0.7%)となった。

 

米国は、軟調な景気指標が重石となったものの半導体関連企業への期待による株高から上昇した。ドイツはフランス議会選挙での極右勢力の伸長による欧州での政治的不透明感の高まりから下落した。

 

日本は、円安による企業収益増加期待から円建てでは小幅上昇したが、ドル建てでは下落となった。中国は不動産市場の下落が継続していることなどから下落した。

 

台湾では、半導体開発・設計の聯発科技(メディアテック)、電子機器製造の鴻海精密工業(ホンハイ)、半導体受託生産の台湾積体電路製造(TSMC)といったエヌビディアの取引先企業が上昇したことが株式市場を押し上げた*2

 

アルゼンチンでは、ハビエル・ミレイ大統領が大幅な内閣改造を行ったことによる政治的混乱が嫌気され株式市場は下落した。

 

 

 

業種別に見ると、 半導体・半導体製造装置(+10.0%)、ソフトウェア・サービスおよび機器(+9.0%)、テクノロジー・ハードウェアおよび機器(+7.9%)がリターンが高かった。一方で、 耐久消費財・アパレル(▲4.7%)、公益事業(▲4.2%)、素材(▲3.5%) がリターンが低かった(図表6)

 

エヌビディアや関連企業の上昇により半導体・半導体製造装置セクターの上昇が続いている。

 

 

*2:日本経済新聞、「台湾株上昇、アジアで突出 NVIDIA関連の勢い止まらず」、2024年6月19日

次ページ3―世界の主要企業の株価動向

※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2024年7月8日に公開したレポートを転載したものです。

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