(写真はイメージです/PIXTA)

投信信託の最新動向について分析すると、毎月分配型の外国株式ファンドが販売をけん引したといいます。ニッセイ基礎研究所の前山裕亮氏が解説します。

外国株式ファンドが非常によく売れた

2024年6月の日本籍追加型株式投信(ETFを除く。以降、ファンドと表記)の推計資金流出入をみると、外国株式ファンドに1兆3,800億円の資金流入があった(図表1)。5月の1兆1,500億円からさらに2,300億円増え、過去最大を更新した(図表2)

 

外国株式ファンドへの資金流入は2024年に入るまで2021年12月の9,900億円が最大であった。それが2024年に入ってから最も少額であった4月でも9,500億円と大規模な資金流入が続いているが、特に6月は一段と増えた。

 

外国株式ファンドをSMA専用(紺棒)のものを除外し一般販売されているものに限ってタイプ別にみると、6月はインデックス型(黄棒)、アクティブ型(緑棒)ともに5月から流入が増加した【図表2】。特にアクティブ型が5,500億円と5月の3,500億円から1.5倍に膨らんだ。

 

毎月分配型の外国株式ファンドが販売をけん引

そもそも、アクティブ型の外国株式ファンドは2022年ごろから販売が低迷していた。これは2022年に外国株式が調整したことに加え、2020年後半から2021年にかけて販売が好調過ぎた反動もあったと思われる。2023年は一転して外国株式の株価上昇と円安で多くの外国株式ファンドの基準価額が大きく上昇したが、利益確定売りに押されて売却超過になる月もみられた。それが2024年は徐々に復調し、この6月は2021年12月の6,100億円以来の規模の資金流入があった。

 

2024年に入ってからアクティブ型の外国株式ファンドの販売を牽引しているのは、意外にも新NISAからの買付ができない毎月分配型である。一般販売されている毎月分配型の外国株式ファンドは資金流入が1月の1,100億円から毎月増加し、6月は3本(【図表3】赤太字)を中心に2,500億円の資金流入があった。

 

2024年は今のところ米国株式を中心に世界的に株価が上昇し、しかも年初1ドル140円台前半だったのが6月末には160円台を超えるなど急激に円安も進んだ。そのため為替ヘッジをしていない外国株式ファンドは総じてかなりの高収益をあげており、それを原資に高分配を維持している毎月分配型、特に予想分配金提示型が多い。この高い分配金に注目して毎月分配型の外国株式ファンドを購入する個人投資家が増えているものと推察される。

 

アクティブ型にインド株式ファンドに過去最大の資金流入

さらにアクティブ型では、インド株式ファンドも非常によく売れている。6月は「HSBC インド・インフラ株式オープン」、「ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド」(【図表3】青太字)を中心に、一般販売されているものに2,200億円の資金流入があった。5月も1,800億円の流入と過去最大であったが、さらに400億円以上増えた。その一方でインデックス型のインド株式ファンドは6月も200億円の資金流入と4月以降、200億円前後でほぼ横ばいとなっている。

 

このようにインド株式ファンドがアクティブ型のみ足元でよく売れているのは、インデックス型にインド株の中で特に高いパフォーマンスをあげているインフラ株にフォーカスしているファンドがないこともあるかもしれない。ただ、それ以上に対面証券でアクティブ型のインド株式を推していることがあると思われる。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2024年7月8日に公開したレポートを転載したものです。

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