目指してはいけない資格の5つのタイプ
では具体的にはどんな資格がよいのでしょうか? その前に目指すのをお勧めしない5つのタイプの資格について説明します。
①難関すぎる資格
司法試験、公認会計士、税理士、司法書士など合格までに必要とされる学習時間が3000時間をオーバーする試験です。繰り返しになりますが、1~2年で合格するためには、会社を辞めて勉強に専念するしかありませんし、それでも合格する保証はありません。
中年になって職歴の空白期間を作るのは極めて危険な賭けといえます。会社を辞めないで毎年、コツコツ勉強を続けても合格レベルに達するまで数年かかってしまいます。
②簡単に取得できる資格
反対に、合格するのは難しくなく、誰でもある程度の時間をかければ合格できる資格を、複数取るのもお勧めしません。
例えば、ITパスポート、英検2級、簿記3級にいずれも合格したとしても社内的にも転職市場でもその人の評価は高まらないでしょう。取得した資格のレベルが高くないため、その人の能力の証明にはならないからです。新卒で就職活動をする際には、自己啓発に熱心な学生だと思われるかもしれませんが、中途採用などで求められるような即戦力の証明とはなりません。
それぞれ100時間かけてITパスポート、英検2級、簿記3級を取るよりは、300時間をかけて簿記の2級を目指したほうが効率がよいといえます。
ただし、試験慣れや成功体験をつくるため、簿記2級の前に簿記3級といったように目標とする試験を受ける前に簡単な資格試験を受けてみるのはよいです。合格したという喜びと自信が勉強へ向かう原動力となるからです。
③英語(語学)とITに関する資格
英語とITは、サラリーマンにとって必須となるスキルといえるでしょう。
この2つに関する資格を取れれば、効果があると考える人も多いと思われます。しかし社内の評価を別とすれば、競争相手も多いので転職や独立の際の効果が薄く、かけた時間に対するリターンがよくありません。
どの資格にも当てはまるのですが、資格だけでなく実務経験が重視されるからです。TOEICで900点以上を取ったり、英検1級に合格したりしても、実務経験が乏しければ、転職の際に好条件で採用される可能性は低いでしょう。
これから、実務経験を積むという考え方もなくはありませんが、40歳を過ぎたビジネスパーソンにとっては遅いように思われます。とくにプログラミングなどのITスキルを習得するには、若い人のほうが有利ですので、40を超えた人が勝負するのには分が悪いです。
国内メーカーに勤務しているが海外企業とのやりとりが豊富、一般の企業に勤務しているがWebの管理を長年任されている、といった実務経験がある人が、その能力の証明するために目指すのはありです。
ただ、英語やITスキルに自信がある人でも、英検1級やITストラテジストといった上位の資格に合格するのは難しく、多大な労力がかかります。
経理の経験があり英語が苦手でなければ、米国公認会計士試験を目指してみる、一般企業で試行錯誤しながらWebの運営を任されているならば、中小企業診断士の資格を目指してみる、といったように、職歴を掛け合わせて目標を変えてみると、希少性を売りに成功できる可能性が高まると思います。
④専門学部を卒業していることが要件となる資格
医師や薬剤師になるには、大学の医学部や薬学部を卒業することが条件となります。年をとってから大学に入り直すには、多大な時間と費用を要しますので、現実的でないでしょう。
⑤大型運転免許など人命に関わる資格
運送業界は労働力不足といわれています。いちはやく定年を廃止したり、求人で年齢制限をかけなかったりする会社もあります。大型運転免許を取得すれば、トラックドライバーとして70歳過ぎまで長く働けるように思われますが、難しい面もあります。
今までデスクワーク中心だった人が中年を過ぎて転向すると肉体的には厳しいものがあるからです。トラック運転手であれば、運転以外、荷物の積み下ろしなどの作業もあるので、慣れてないと腰を痛める恐れがあります。
また加齢とともに視力や反射神経は衰えていくので、事故を引き起こすリスクが増していきます。運転が好きな人、運転に自信がある人以外は、積極的にはお勧めできないです。
佐藤 敦規
社会保険労務士
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