独立したときに気をつけること
■知識の仕入れの時間を確保する
どの仕事にもいえることかもしれませんが、特に知識やノウハウが売り物の士業にとっては、アップデートは不可欠です。要注意なのは、仕事が臨時的に増えたときです。クライアントが増えれば、必然とその仕事以外にも付随する事務作業が発生し、時間に追われることになります。
助成金や補助金などの仕事は、期間限定で、なくなってしまうことが多々あります。その仕事中心にやっていた人は、他に受託できる業務がない、勉強していないので受けられないなどという状況に陥ってしまいます。
そうならないためにも、メイン業務を回していく間にコツコツと他の業務も手掛けられるよう情報を集めたりしなければなりません。
このあたりの感覚は、対象とする科目を集中して勉強する間、他の科目も同時並行して回していくという試験勉強のときと同じです。
ではどのようにして時間を確保するのか。
一つは、定型的な事務作業などを外注する方法です。アルバイトを雇うのもよいですし、請求書の発送から入金管理までを一括して引き受けてくれる事務代行業者もいます。
もう一つは、勉強会などに定期的に参加することです。元々、学習熱心な人が多いため、どの士業も有志グループによる勉強会が開かれています。参加する際は、自らが進んで発表者を務めるようにしましょう。やはり受け身で話を聞くだけでは、なかなか力は身につきません。同業者の厳しいツッコミなどを受けて話をすることで、力をつけることができます。
■グレーな依頼には気をつける(助成金・補助金の不正申請)
どの時代にも助成金や補助金を悪用するクライアントはいます。それ以外にも不法就労している外国人の在留資格取得、反社関係者からの土地取引、不法な不動産取引など士業の方には、合法とはいえない依頼がくるときもあります。
残念なことに目先の報酬欲しさにこうした依頼を引き受けてしまう士業がいないわけではありません。こうした仕事は、絶対に受けないようにしましょう。
一度、受けてしまうと紹介が次々と生まれるので、自ら営業活動をしなくても毎月、安定した収入を得られるようになります。悪い人の知人はやはり悪い人で、仕事の依頼を受けてくれる専門家がいないため、ここぞとばかりに紹介が増えるのです。
こうして仕事を続けていると遅かれ早かれ、不正が発覚して資格停止といった破目になってしまいます。運良く発覚しなくても、悪い交友関係に巻き込まれ、不幸な結末になる恐れもあります。
グレーな依頼以外にも法律的にNGとされている売り込みをしてはいけません。
社会保険料の削減、従業員を合法的にリストラするといった文句は、一部の経営者にささるものがあります。グレーな依頼同様に、一度、顧客を獲得すると紹介が相次ぐようになります。
しかしそのような仕事を続けているといずれは発覚します。経営者をサポートする立場であっても、コンプライアンス厳守と正義感は保持しておきましょう。
そのためには、仕事を通して何を実現したいのか、ビジョンを持つことも大切です。それがなくお金を稼ぐことだけを優先すると、ダークサイドに転落する危険があります。