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70歳までの就業機会を確保する努力義務
■60歳から70歳までの雇用環境はどうなっている?
老後の資金を増やすための最良の方法は、できるだけ長く働くことだといわれています。政府もできるだけ長く働くライフプランを奨励しています。
2021年4月には、高年齢者雇用安定法が改正され、企業は70歳になるまで就業機会を確保する努力義務を課せられるようになりました。内閣府が公表した2021年版の高齢社会白書によると、仕事に就いている60~64歳の割合は71.0%と10年前に比べて10%以上も増えています。その雇用状況はどうなっているのでしょうか。
■65歳までの継続雇用は正社員と限らない
(高年齢者雇用安定法により)企業は、労働者が希望する場合、65歳まで雇用しなければなりません。ただし正社員ではなく、有期雇用契約のアルバイトなどにしてもよいのです。今の身分と給与体系が65歳まで延長されるとは、限らないことを認識しましょう。
実際、身近な人から「定年は延長になったが、年収は今までの半分以下」といった話を聞いたことがあるのではないでしょうか? 月々に支払う住宅ローンが残っていたりすると大変です。
労務行政研究所が令和3年1月労政時報の会員向けに実施した調査によれば、88.7%の企業が60歳の定年、65歳までは再雇用制度を適用している結果となっております。
再雇用制度とは、嘱託や契約社員、シニアスタッフなど名称は変われども正社員ではなく、非正規社員の身分で契約を結びなおす仕組みです。賃金体系は正社員と異なりますので、最低賃金水準、税込みで20万円以下になるケースもありえます。
さらにフルタイムでなく、週3日しか働けない体制でも違法ではありません。雇用保険や社会保険には、引き続き加入できます。
定年を65歳までとする企業も増えてきていますが、いったん、退職して有期の契約社員(アルバイト)に雇用形態が変わる企業が大半なのです。まずは今、定年制度がどうなっているのか、勤務先の就業規則を見て確認しましょう。
■65歳以降の雇用は努力義務
先述のように高年齢者雇用安定法が改正され、企業は従業員が70歳になるまで就業機会を確保する努力義務を課せられるようになりました。しかしこの法律の主旨は、企業がなんらかの形で70歳までの雇用を提供するように努力しなければならないもの。努力義務となっているものなので、守らなくても企業に対して罰則などはありません。
ただし行政指導の対象(ハローワーク等からの指導や助言を受けても状況が改善しなければ、措置導入の計画作成を勧告、それでも従わなければ社名公表)となります。
■今後はどうなる
労働政策研究・研修機構が2019年に実施した調査によれば、65歳以降の継続勤務について希望者全員が働くことができると回答した企業は21.8%、希望者のうちに基準に該当した者のみ働くことができると回答した企業が58.0%。定年を廃止すると回答した企業もありますが、介護・建設などの人手不足の業界が中心。現状では、65歳までの雇用維持で精一杯という企業も多いです。
したがって法律が改正されたからといって定年が延びると期待しないほうがよいでしょう。大半の企業は、現状、導入している有期社員での65歳まで継続雇用制度を延長するという形に留まると予想されます。
さらに55歳の役職定年制により55歳以降、給料がダウンする企業も少なくありません。今後は65歳以降の雇用を維持するためには、55歳以降の給料削減に拍車をかける企業もあるでしょう。中高年社員の学び直しやスキルの再習得が叫ばれていますが、具体的に進んでいません。
本連載で紹介した資格を取れば、安定した収入が保証されるというわけではありません。しかし55歳以降の厳しい雇用状況下、副業、転職、独立(会社からの業務委託も含む)の可能性を広げてくれることは確かです。
【高齢者雇用安定法とはどんな法律】
高年齢者雇用安定法は、少子高齢化が急速に進行し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある誰もが年齢にかかわりなくその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境整備を図る法律です。