(※写真はイメージです/PIXTA)

子どもの仲間はずれが発覚しても、親として大切なことは過度に怖れず、親自身が仲間はずれの恐怖から自由になることです。親が仲間はずれに過剰反応すると、子ども自身に悪影響が及びます。精神科医の和田秀樹氏が著書『アドラー流「自分から勉強する子」の親の言葉』(大和書房)で解説します。

「自分の意見」を言える子、言えない子の差

■言いたいことはきちんと言おうね

 

学校で〝スクールカースト〞と呼ばれるものができるのは、子どもたちの間で共同体感覚を持つことができていない証拠です。共同体感覚を持てないから、仲間同士で排除したり、序列をつけたりする。言い換えると、排除されたり序列をつけられたりすることに極度におびえながら生きているわけです。

 

人は共同体感覚を獲得したとき、仲間はずれになることを怖れないだけでなく、自分の言いたいことが言えるようにもなります。

 

どんなことであっても、言いたいことは言い合える。これが共同体感覚を身につけた状態の人間関係です。

 

信念にもとづいて言いたいことを言うのは、決して簡単なことではありません。

 

たとえば、原子力発電に反対する世論が高まったタイミングで「私は原発の再稼働に反対します」と声を上げることはたやすいでしょう。マジョリティの意見に沿っているからです。

 

しかし、生活保護の不正受給が発覚し、生活保護という制度そのものにバッシングが起きているときはどうでしょう。

 

「でも、やはり貧しい人たちは気の毒だし、助けてあげる制度が必要」
「うつ病で生活がままならない人もいる」

 

などと堂々と主張するのは困難です。要するに、マジョリティに沿っていない限り、正しいと思っても口にしづらい状況があるのです。

 

マジョリティの動向にかかわりなく、正しいことを正しい、間違っていることを間違っていると自分の考えを主張できる力をつけてあげるのは親の役割です。

 

もちろん、言いたいからといって、相手を見下す言葉や差別的な言動は慎むべきです。その使い分けも含めて、きちんと教える必要があります。

 

「言いたいことを言うのと、相手を傷つけることは違うよ」
「言われて嫌なことはできるだけ言わないほうがいいけど、みんなに合わせて黙っているより、言いたいことは言うべきだよ」

 

などと、普段から伝えていくようにしましょう。
 

 

和田 秀樹
和田秀樹こころと体のクリニック 院長

 

 

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