(※写真はイメージです/PIXTA)

子どもは、ほんのちょっとしたことで、自分とまわりの子を比較して劣等感を持ち、自己否定に走りがちです。アドラーは、そんな状況に直面した子どもに自信を持たせることの重要性を説きました。精神科医の和田秀樹氏が著書『アドラー流「自分から勉強する子」の親の言葉』(大和書房)で解説します。

劣等感をバネにする親の一言

■負けても当たり前だよ

 

劣等感を過剰に持ち、自分には価値がないと考える状態を「劣等コンプレックス」と言います。

 

アドラーは、人は誰でも劣等感を持つとした上で、その劣等感を劣等コンプレックスにしてはいけないと言いました。

 

子どもは、ほんのちょっとしたことで、自分とまわりの子を比較して劣等感を持ち、自己否定に走りがちです。アドラーは、そんな状況に直面した子どもに自信を持たせることの重要性を説きました。これがアドラー心理学における「勇気づけ」ということです。

 

子どもの成長を考えるときには、生まれ月による運不運というものがあります。2月、3月ごろに生まれた子は、4月、5月生まれの子と比較して勉強も運動もおしゃべりも遅れがちなので、どうしても劣等感を抱きがちです。

 

ここで重要なのは、劣等感を否定するのではなく、劣等感をバネにして勝ちに行くということです。つまり、負けているのを認めたうえで、「次は勝とう」という意欲を持つことに意味があるのです。

 

「あの子とは1年近く差があるんだから、今は負けても当たり前なんだよ」
「1年後のあなたは、あの子よりも勝っているはずだよ」
「算数では今でも勝てるんだから大丈夫だよ」

 

親からこう言ってもらえるだけで、子どもはどれほど救われるでしょうか。

 

多くの親は子どもの欠点に目を向けがちで、欠点を減らそうと躍起になります。しかし、何かができていて、何かができていない状況があったら、できているほうに着目して褒めるべきです。できているところを伸ばして絶対的な自信にしてあげれば、子どもの心は強くなります。

 

心の強い子どもは、仮に何かで壁に突き当たる経験をしても、決して自己否定におちいることなく、「こんなこともある」「他のことで見返せばいい」などと思えるようになるのです。

 

次ページ心が強い子は「弱音が吐ける子」

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