(※写真はイメージです/PIXTA)

子どもは自分が他者に貢献していると感じられたとき、自分に価値があると感じることができます。親子関係でも子どもの貢献に着目し、積極的に評価してあげることだといいます。精神科医の和田秀樹氏が著書『アドラー流「自分から勉強する子」の親の言葉』(大和書房)で解説します。

子どもが噓をつくときの対応は

■本当のこと話してくれてありがとう

 

人が一つの噓をつくと、噓をつき続けるために、別の噓をつくという悪循環が起きます。子どもの噓も、放っておくと大きなトラブルに発展しかねないので、必ずやめさせる必要があります。

 

噓をつくと、結局は損をする。絶対に噓をついてはいけない。こう教えておくようにしましょう。「親に噓をついても必ずばれる」「噓をつくのはやめよう」と思わせることが大切です。

 

子どもの様子を見ていれば、噓をついているかどうかはだいたいわかるはず。噓が発覚したときには、やめさせます。ここで重要なのが、正直に噓を告白したときには、きちんと評価するということです。

 

アメリカ合衆国初代大統領ジョージ・ワシントンには、有名な桜の木の逸話があります。少年時代のワシントンが、父親が大切にしていた桜の木を切ったことを正直に告白。その結果、父親に正直さを褒められたという話です。

 

逸話は脚色であるという説はともかく、ポイントは〝人間の正直さを重視する〞ところにあります。アドラーも人間の正直さを重視しています。

 

たとえば、子どもが「宿題をやった」と噓をついて遊びに行ってしまった。帰宅後に問い詰めたところ、正直に「宿題をやっていなかった」と告白したとしましょう。

 

「どうして噓をついたの?」
「いつも噓をついてばかりじゃない」

 

このように、噓を認めた瞬間に一方的に叱ると、子どもは萎縮してしまい、正直に話そうとする気持ちを失います。せっかく正直さを見せたのに、噓をついたところだけを見て叱り続けると、ふたたび噓つきに戻るだけです。

 

噓をついた子どもが、噓を正直に告白した。これは、人としてよりよい方向へ進んだということです。事の善悪は別として、まずは「正直になった」というところに着目して、きちんと評価してあげるべきです。

 

そのうえで、「本当のことを言ってくれたのは嬉しいけど、二度と噓をついてはいけないよ」と、次に噓をつかないように導いていくとよいでしょう。

 

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