財務省の思うつぼ…納税意識が低い日本人
■国民の税への意識
例えばアメリカ人の税意識と日本人のそれの違いは大きい印象があります。アメリカ人は自分の払った税金がどう使われているかに、すごく関心が強い。一方で日本人は一般的に弱い。
これには徴収制度の違いが大きく影響していると思います。アメリカではサラリーパーソンでも「タックス・リターン」といって、確定申告をやります。日本のような源泉徴収はないのです。だから税理士に相談してきちんと税の申告書を書かないといけません。
つまりアメリカ人は自分の税の納付額を正確に把握していて、経費がいくらで、還付金はこれだけあったと全部わかってるわけです。
当然、彼らはできるかぎり節税するでしょう。ただ、アメリカでは「脱税をやった」ことがはっきりすると、市民権を失うくらいのモラル違反になります。税金を取る側、国や州の政策に対して厳しいと同時に、税を不正に逃れる者にも厳しい……それがアメリカです。
一方、日本人の税の使われ方に対する意識は、希薄というか他人事になっている印象が強い。この主たる原因は源泉徴収があることでしょう。わたしもサラリーパーソンなので理解できます。
給与明細に正確に記されているとはいえ、支給される金額は税金を差し引いたあとのものです。だから「税金を取られている」という実感があまりない。当然取られてはいるのですが。それゆえ、自分の払った税がどういうふうに使われているかということを追求しない。
だから例えば消費税が上がるときも、みんなもう「しょうがないんじゃない」「社会保障費、足りなくなるし」みたいな感じになってしまい、財務省の思うつぼです。
田村 秀男
産経新聞特別記者、集委員兼論説委員
↓コチラも読まれています
ハーバード大学が運用で大成功!「オルタナティブ投資」は何が凄いのか
富裕層向け「J-ARC」新築RC造マンションが高い資産価値を維持する理由