日本の消費税がアップする根本原因
■消費税(間接税)の特徴
繰り返しますが、景気が悪くなると税収は減ります。
一方、家計は、例えば子供たちも食べさせないといけないし、最低限動かさないといけないことがいくつもあります。したがって不況になっても、家計の支出は大きく変わりません。そのため消費税の税収はそれほど減りません。つまり所得税や法人税は景気の良し悪しで乱高下がありますが、消費税はあまりない。
これが財務官僚としてはしめしめなのです。いちばん見通しが立ちますので。だから政治家に対しても、盛んに「消費税の税率を上げたら、確実に財政収支の悪化を防げる」「社会保障費になる」と甘い囁きをする。
そもそも消費税や付加価値税の発想はフランスから出ています。
絶対君主ルイ14世の時代はブルボン王朝のピークでした。そのとき、コルベールというやり手の財務大臣がいました。この人が徴税の「極意とは」ということで、こんなことを言っています。
「ガチョウから羽を取る際、一気にむしり取ってはいけない。適度に抜けば、ガチョウは暴れもしない。黙っている。むしろ満足した顔をしている。これが徴税の極意だ」と。
こういう考え方が脈々と繫がって、現代の付加価値税(消費税)に至っているわけです。次のルイ15世のときには空気税を取ろうとしました。「お前はここの国の空気を吸ってるんだから、税金を払え」というわけですが、消費税も「お前はこの国で食べたり飲んだり、買い物をするのだから税を払え」ということで、同じ言いがかりのようですね。
さて、一方で消費税を上げる代わりに、所得税や法人税、ほかの税金を下げるという発想は財務省にはないのかと、思われるかもしれません。実際、アベノミクスで法人税減税をやりましたが、これは経団連と取引したのです。「消費税を上げることに賛成すれば、法人税を下げてやる」と。
じつはそこにはもうひとつ約束があり、「法人税率を下げるなら、企業は国内投資を増やす」はずだったのに、実際にはほとんど国内投資は増えていません。こんな噓つきはダメです。道義というものがあります。いみじくも「国内投資を前年比で10%増やす」と約束したのだから、それは守りなさいよと言いたい。
ある種の倫理観や「国民経済をよくしないといけない」という国家観は、財界にはないということでしょう。国民経済がいいからこそ、企業(その大小は問わず)の経営は成り立つわけです。だからきちんと貢献しないといけないと思います。