
ロシアのウクライナ侵攻でルーブルが大暴落をしています。各国の経済制裁が原因ですが、実は日本円も「暴落」しています。輸出主導の国は製品が安く売れるので円安がいいと考えられると思いますが、本当にそうでしょうか。日本経済の分岐点に幾度も立ち会った経済記者が著書『「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由』(ワニブックスPLUS新書)で解説します。
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円安は日本にとって朗報なのか
■円安と円高
輸出で経済を動かす割合が高い国は、製品が安く売れて収益が増えるわけですから、貨幣価値が下がったほうがいいと考えがちですが、ほんとうにそうでしょうか?
例えば日本の場合、円安になったら輸出産業の収益は増えます。企業も強気になり設備投資をして人を雇おうという好循環が生まれることが予想されます。ところが円安になって企業収益が上がっても、円安が長続きするかわからないという見通しだと、企業は投資に対しても慎重になります。
一方で円安によって収益が上がって、企業が「政策が効果的で1ドル=70円台、80円台の円高はなさそうだ。1ドル=110円くらいでずっといきそうだ」ということで、「国内に投資して人も雇ってみようか」と考えているときに、例えば消費税増税で内需を圧縮させるようなことをやると、企業は「あれ、これじゃあ日本の内需は拡大しないじゃないか」となる。
内需が拡大しないから、物価が上がらない。それで売り上げも増えないから、国内投資はまずいんじゃないかと控えてしまいます。やっぱり海外投資だと。
もともと為替相場は一定の水準で続くわけではありません。将来の見通しがどうなるかはわからないのです。企業はそういうなかで経営戦略を立て、判断をしなければなりません。だから単純に「円安になれば景気がよくなる」と信じていると痛い目に遭います。
そういうことは企業の経営者はきちんと理解しています。かつてソニーの出井伸之さんが言ってました「やはり為替は安定してほしい」と。
■増税すると何が起きる?
不況のとき、税収は伸びません。減ります。減ったときは、政府が赤字国債を発行して、予算確保をせざるを得ません。これは景気が上向いてしまえば、一時的な話で終わるので問題ありません。ところが不況が長引いて赤字国債の償還がなかなか進まないと、日本のように消費税を増税していくわけです。
国債償還のために増税すると何が起きるか? 経済が委縮します。それはなぜでしょう? 増税というのは、国民―企業を含むわけですが―から収入を政府が取り上げるということです。収入を取り上げて、それを再投資するならいいのです。
しかし、その多くを借金の返済、つまり国債償還に充てるとなると、国民の収入はどこかに飛んでしまっている、返ってこないわけです。そうなると需要が奪われるということになる。需要が少なくなるので、要するに経済が余計に悪くなります。
これは小学生にもわかる理屈です。でもなぜか国債償還ばかりにこだわってるのが財務省です。非常におかしな話です。
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