収益不動産は「売却をしない方が得」なケースも
北関東を中心に、高利回りの築古アパート投資を行っている中島亮さんのように、「基本は売らない」という人もいます。
中島さんは22棟276世帯、入居率93%、家賃年収1億4088万円、年間キャッシュフローが9384万円という凄腕投資家さんです。
大前提として、順調に運営できて利益が出ているのなら、売却する必要はありません。また、売却益の使い道がないのなら売却はしなくて構いません。
現金のまま持っていたら、お金は増えません。ただし「売ったお金で何かをしたい」「新しい物件に入れかえたい」などの希望がないなら、現状維持も立派な戦略です。
区分マンション投資に特化した、元サラリーマン兼業大家の芦沢晃さんも売らない主義です。還暦を迎えた現在、区分マンションを59室も所有されているベテラン大家さんです。
1つの物件の家賃が10万円に満たなくても、それが100戸以上あれば規模が大きくなります。借金もゼロで、税金は高いかもしれませんが、それでも収支はプラスです。
そう考えると、ローン返済がない物件になれば、税金を含めての収支で考えても十分成り立ちます。
ただし、芦沢さんが所有する物件と同じような高利回りの区分マンションは、買おうと思っても簡単には見つかりません。
芦沢さんクラスになると、マーケットに出る前の物件も買えますが、業者がライバルになることもあるでしょう。
そういう意味で、実は良い時期に買った人ほど次が買えないこともあります。
今の相場では買う気になれないため、ずっと持ち続けているそうです。そのような人から「同じような物件を探してほしい」と言われると、私は「ないので売らないほうがよいですよ」と答えることにしています。
相場は市況に合わせてどんどん変化するもの。昔に利回り20%だった物件が、今は10%になっていたりしますし、その逆もありえます。
そうした変化を受け入れられないのなら、持っているべきです。
規模拡大だけが不動産投資ではないので、持っている物件を安定的に回してキャッシュフローを得ることでも投資としての十分な成功といえます。
新川 忠義
株式会社クリスティ代表取締役
富士企画株式会社代表取締役
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