※画像はイメージです/PIXTA

収益物件の空室が長引いたとき「家賃を下げれば入室希望者が出てくるのではないか」と考えて家賃を下げて空室を埋めたくなります。しかし、空室を埋めるために家賃を下げるくらいなら、空室のままがよいといいます。なぜでしょうか。不動産売却実績4000件の新川義忠氏が著書『速く、高く、不安なく!トータルで収益を増やす“不動産売却”の極意』(ごま書房新社)で不動産売却のコツを解説します。

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安い物件には安い理由がある

■そもそも売りやすい物件とは?

 

売りやすい物件とは、「自分が買いたい物件」でもあります。

 

キレイ、満室、管理状態が良好な物件は売りやすいです。高利回り、高積算ということは「相場より安い」といえます。

 

買い手は「安くて良い物件」を求めているわけですが、売り手としては「これなら売れる」というギリギリを狙います。

 

基本的に、安い物件には安い理由があるものです。例えば、ボロボロで高額な修繕費がかかる、空室だらけで家賃収入が生まれない、家賃滞納やクレームがある、近所に変な人が住んでいるなどです。

 

こうしたネガティブ要素がなければ売りやすくなります。

 

当社では、まず「いくらで売りたいのですか?」と聞いています。その金額が相場より高ければ「その金額では売れません」、低ければ「もっと高く売れます」という話をします。あくまで相場に合わせることを繰り返しているだけです。

 

当社にとって売りやすい物件は、相場に合っている・安い・満室・キレイ・リフォーム済みの物件です。この条件に売り手の物件を合わせていきます。

 

不動産会社がどういう商品を売りに出しているかというと、安い物件を買ってきて、満室にしてキレイにして入居者を付けて売るわけです。そうすることで高く売れると皆が知っているからです。

 

ですから、自分が売りたくないと思うような良い時期に、あえて売ることが高く売れる秘訣ともいえます。

 

逆に、空室の期間が長くなってきたり、リフォーム代にお金がかかるようになってきたり、建物が傷んできたりするタイミングでは、「手放したい」と思うかもしれませんが、買い手にも気づかれてしまうので価格は下がってしまうわけです。

 

■物件の状態を正しく把握する

 

まず、自分の物件の今の状態を正しく把握することから始めましょう。ここでいう「今の状態」とは次のようなことです。

 

(1)所有年数と築年数

所有年数は、短期譲渡と長期譲渡によって売却益にかかる税率が変わります。

 

木造の場合、売却となると昭和の物件は売りづらくなります。平成の時点の大正が、令和でいうところの昭和に値するイメージです。

 

したがって、昭和の物件(特に旧耐震基準)はできるだけ早く売却し、可能なら平成の物件に入れ替えることをお勧めしています。

 

(2)入居状況の確認

・空室はあるのか
・保証会社の滞納がないか

 

入金はされているものの、実は家賃滞納があり、それを保証会社が代理弁済しているケースがあります。

 

・ 管理会社に「あそこを直してほしい」といったクレームが上がってきているのを無視していないか

 

無視していなかったとしても、管理会社で止まっているケースは意外とあります。すべて報告している管理会社もあれば、報告しない、もしくは事後報告の管理会社もあります。

 

こういったことを聞き出しておかないと、後になって買主さんとのトラブルに発展する可能性もあるので注意しましょう。

 

次ページ家賃を下げても「空室は埋めるべき」か

※本連載は新川義忠氏の著書『速く、高く、不安なく!トータルで収益を増やす“不動産売却”の極意』(ごま書房新社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

速く、高く、不安なく!トータルで収益を増やす“不動産売却”の極意

速く、高く、不安なく!トータルで収益を増やす“不動産売却”の極意

新川 義忠

ごま書房新社

不動産投資において、「売却」は不可欠なものです。そもそも不動産投資には「家賃収入によるインカムゲイン」「売却時の利益、キャピタルゲイン」と2つの利益があります。 安く買って、高く売れば利益になりますが、10年前に…

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