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物価が上がっても死守してきたワンコインランチ
Aさんは大学卒業後、都内の商社に就職。当時はバブル景気真っ只中、不動産や株価が天井知らずで高騰していた時代です。Aさんの初任給は当時の大卒男子の平均と同じ月14万円。Aさんが学生のころに、500円が紙幣から硬貨へと変わり、のちにサラリーマンの胃袋を支える「ワンコインランチ」が注目されるようになりました。
かつてワンコインランチといえば、安くてクオリティの高い料理やボリューム満点の料理が楽しめる代名詞でした。ワンコインランチが全盛期のころ、ランチの時間になると、のぼり旗を出してお客さんの呼び込みをしていたお店がたくさんあり、若き日のAさんもまた、休憩時間になると真っ先にそれを目指して街へ繰り出していました。
しかし、定年が近づくにつれ、500円でランチが食べられるお店は少なくなっていきました。近年の物価の上昇により、ワンコインで食事を済ませるには、会社近くのコンビニでおにぎりやサンドイッチと飲み物を購入するのが精いっぱい。いまでも探せばワンコインランチのお店があるかもしれませんが、多忙のなか、労力をかけて探す時間はありません。しかし、定年まで頑なに「昼食代500円」は死守してきたのです。
安泰の老後計画
部長にまで昇進したAさん。60歳の定年時に退職金2,500万円を受け取りました。年金の見込み額は、企業年金を含め、約280万円です。さらにAさんが65歳になると年下の妻がいる場合に加算される「加給年金(家族手当ともいわれる)」が約41万円つくため、年金総額は約320万円(月額約24万円)となります。
結婚以来、家計管理はすべて妻に任せていました。A家はお小遣い制。通帳とキャッシュカードは妻が管理し、Aさんは毎月決まった額のお小遣いを受け取るスタイルです。
「俺は稼ぐのが仕事、妻は家を守るのが仕事」そんな考えのAさんは、「男が家計の細かいことに口を出すのは野暮だ」という美学のようなものすら持っていました。一方で、老後に使える貯蓄はおそらく3,000万円はあるだろう、と算段を踏んでいました。いままでの努力の甲斐あって、老後は安泰と信じてやまなかったのです。夫婦の価値観は同じのはずだから――。
「現役時代は500円で我慢してきたが、これからは1,000円? 1,500円くらいの少し贅沢なランチをしてもいいかな」そう、これまでのご褒美に、妻をランチへ誘いました。

