(※写真はイメージです/PIXTA)

ある高齢男性は、子連れ離婚した末っ子の長女が心配でたまりません。ところが妻の葬儀の際、母親違いの長男と二男が長女を悪く言っているのを知ってしまい…。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに、生前対策について解説します。

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先妻の息子2人が、母親違いの妹に抱いていた「不満」

今回の相談者は70代男性の山口さんです。長女に自宅財産を残す方法をアドバイスしてほしいと、筆者の事務所を訪れました。

 

山口さんには、長男・二男・長女の3人の子どもがいますが、長女の美奈子さんは後妻との間の子どもです。先妻との間には長男と二男をもうけたのですが、2人が小学生のころに離婚しました。

 

長男・次男とも就職を機会に家を出て、現在はそれぞれ結婚し、都内に自宅を構えています。

 

3年前、長女が離婚して子どもを連れて実家に戻ったタイミングで、妻に深刻な病気が発覚しました。長女は熱心に母親の看護を行いましたが、残念ながら亡くなってしまいました。長女はその後も山口さんと同居を続け、地元の中小企業で働きながら、子育てと山口さんの身の回りの世話をしています。

 

母親違いの息子たちと後妻、後妻の子である長女は、親密ではありませんがギクシャクすることもありませんでした。しかし、後妻の葬儀の際、息子たちが「妹ばかり楽をして…」と不満を言っているのを聞いてしまいました。

 

そのことがあってから、自分の相続の際に娘が生活基盤を失うことになるかもしれないと、不安を感じているといいます。

「娘には、安心して生活できる場所を…」

「もちろん息子たちだってかわいいですし、大切です。しかし、幼い子を抱えて、ほかに頼るところのない娘には、安心して生活できる場所を残してやりたいのです」

 

山口さんの資産は、現在生活している横浜市の一戸建て住宅と、アパート1棟、そして現預金4000万円程度です。

 

山口さんは、長女に自宅と預金を多く残し、祭祀継承も任せたいと考えています。生活が安定し、自宅も購入ずみの長男と二男には、立地がよく収益も高いアパートを残したいと思っています。

 

山口さんの場合「小規模宅地等の特例」の活用で相続税がかなり圧縮できるため、残った預貯金も家を継承する長女に相続させるようにしました。

 

アパート1棟を長男と二男に1/2ずつ相続させれば、遺留分に抵触することなく分割することも可能になります。長女にくらべれば相続分は少なくなりますが、それで問題ないと山口さんは決断し、遺言書の作成に踏み切りました。

 

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本記事は、株式会社夢相続のサイト掲載された事例を転載・再編集したものです。

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