
40年間続けている「母への仕送り」月額8万円
高齢化が進む日本社会において、親の生活を経済的に支える子どもたちの負担は決して小さくありません。
60歳で定年を迎えたのち、契約社員として同じ職場で働く藤原隆さん(仮名・60歳)も親の生活を支えるひとり。定年前の月収は55万円ほどあったといいますが、定年→契約社員になったことで半減し、今は月収27万円ほどだといいます。定年を境に給与が大幅に下がることでモチベーションダウン、人によっては早々に退職する人も珍しくありませんが、隆さんの場合、そういうわけにはいきません。家族のほか、母を支える必要があったからです。
母・美代子さん(仮名・83歳)は夫を早くに亡くし、女手ひとつで隆さんを育て上げました。現在の収入は、月10万円の年金のみ。生活費を賄うには十分とはいえない金額です。頼りにしているのは、隆さんからの仕送り。就職してから欠かさず送り続けているもので、初めは少ない初任給のなかから、何とか捻出した数千円。現在の仕送り額は月8万円ほどだといいます。
そんな美代子さんは、現在、老人ホームに入居しています。入居のきっかけは、今から3年ほど前のこと。自宅前で転倒し、大腿骨を骨折する大怪我。長期にわたる入院により脚力は衰え、現在、移動には車いすが必須です。このような状態でひとり暮らしは難しいと、隆さんと相談のうえ、施設への入居を決めたのでした。
【年齢別・親に仕送りをしている世帯の割合】
20代…2.75%(平均3.9万円)
30代…2.69%(平均5.2万円)
40代…3.19%(平均4.9万円)
50代…3.84%(平均5.4万円)
60代…2.62%(平均6.7万円)
70代以上…0.34%(平均8.7万円)
出所:厚生労働省『令和4年 国民生活基礎調査』
入居費用は月15万円。月額費用には含まれていない費用を含めても、「年金10万円+隆さんからの仕送り8万円」で十分すぎる介護サービスを受けられ、安心の日々を送っています。
――息子には本当に感謝してもし切れません
美代子さん、ことあるごとに口にしていました。