金融機関は不動産「投資」に融資をしていない
不動産売却成功の3つのポイント
土地を持たずに家主業を始める場合は、多額の借り入れをして不動産を購入するよりも、できれば現金で購入できる範囲での投資、それが難しければ投資額が小さい不動産から始めた方がよい。その場合、中古のアパートや戸建て、マンションなどの区分所有となるが、特に中古の不動産は修繕費がかさみ、購入後の経費が負担となる。
これまで取材してきた家主の中には、比較的値段の安い中古不動産を購入して家主業の実績をつくり、何棟か購入した後にその一部を売却し、その売却資金を原資に新築を購入するという流れで資産を拡大してきた人が少なくない。特に地方都市は土地代も安いことから、新築に移行しやすい。
ここで一つ留意しておきたいのは、金融機関は売却を前提で融資しているわけではないということだ。金融機関は不動産「投資」に融資をしているわけではなく、不動産賃貸「事業」に融資しているからだ。
そのため、売却するときは金融機関に理由をきちんと説明することが重要になってくる。金融機関の担当者が融資をするために少なからず努力した経緯があり、貸付残高も減ることになるため、担当者としてはもろ手を挙げて歓迎できるものではないだろう。事業を展開するということは、取引先との関係性を重視することでもあることは押さえておきたい。
富山県で「サンデー毎日倶楽部」という家主の会を主宰する吉川英一さんは、株式投資でつくった資金を元手に中古アパートを購入し、一部を売却して新築にシフトした。
吉川さんのこだわりは、土地を現金で購入し、建物は元金均等返済で融資を受けて建てるという方式だ。都市部と比較すると、土地が安い富山だからこそ、現金での購入は比較的しやすいが、ポイントは元金均等返済で融資を受けているところだろう。
元金均等返済は、返済する「元金」が借入期間中は一定で、最初は残高が大きいため利息も多く返済が厳しいが、返済が進むのが早いため、次の融資を受けやすいというメリットがある。売却する際も残債が少ないため、売却後に利益を取ることができ、次に買い換える不動産を購入しやすくなる。
家賃は、土地の価格ほど大きな差はないので、その分相対的に利回りが高くなる富山のような地方都市だからこそ可能な拡大方法ではある。地方都市には、富山に限らず、こうしたエリアがあるので狙い目かもしれない。
問題は売りたいときに売れるかということだ。不動産売却のポイントは主に3つある。
(1)不動産会社
(2)タイミング
(3) 情報提供
順を追って説明しよう。