202年「民法」改正で注意しておくべき4ポイント
「民法」2020年改正で家主業に関わる4つのポイント
家主業は、「借地借家法」の他に、「民法」も関わりが大きい。特に2020年4月に法改正する民法では、次の4点が家主業に関わる内容で留意しておくべきだろう。
(1)個人保証における極度額の設定
改正前までは、家賃債務保証会社でも個人の連帯保証人でも極度額の設定は不要だったが、改正後は、個人の連帯保証人は極度額を設定しなければ金銭債務を負わない。その極度額を契約書に記載することになった。では、この個人保証はどんな場面で必要になるのか。主に滞納賃料、原状回復費用、自殺があった際の賃料減額分の損害賠償請求時に必要となる。極度額を設定しないと無保証になってしまい、家主にとっては不利になる。
(2)賃借人の原状回復義務
入居者は、通常の使用及び収益によって生じた賃借物(建物及び部屋)の損耗並びに賃借物の経年変化を除く損傷がある場合、賃貸借契約が終了したときはその損傷を原状に戻す義務を負う。つまり、原状回復にかかる費用について、家主負担は通常損耗と経年変化で、入居者負担は故意・過失による損傷となる。
(3)貸し室設備の一部滅失による賃料減額
入居者の過失ではない設備等の故障は、賃料の対価となる使用収益が得られないため、賃料が減額される。例えば、エコアンが使えない、水が出ないなどの場合、免責日数を考慮した上で、減額割合から算出して賃料減額を決める。
(4)賃借人の修繕権
入居者は、建物及び部屋に修繕が必要な場合、その内容を家主に通知あるいは家主が知ったにもかかわらず、相当の期間内修繕をしないときと急迫の事情があるとき、修繕することができる。裏を返すと、家主が修理しなかったり、対応が遅かったりした場合、修理する権利が入居者に発生するので注意が必要だ。
その他にも、人を相手にするビジネスである家主業では、さまざまなトラブルが発生するので、知っておいた方がいい法律は多い。しかし、基本的に、借地借家法における家賃滞納への対応や賃貸借契約の解除に関する部分、そして民法の改正部分を押さえておけば、その他の法律については、何かあったときに、その都度専門家に相談すれば問題ないだろう。