家賃の督促行為は慎重に行わないと訴えられる
「借地借家法」家賃の督促は慎重に行う
家主業は「賃貸借契約」という契約が前提のビジネスだ。契約事にはさまざまな法律がつきまとう。特に「住」という生活基盤を扱う家主業は法律への理解がないと、とんでもないトラブルに巻き込まれることがある。非があるのは入居者にもかかわらず、対応の仕方を一つ間違えると家主が罰せられてしまうケースもある。そのようなケースで最も起こり得る可能性が高く、厄介なトラブルの代表は「家賃滞納に対する督促」だ。
なぜ、家賃滞納に対する督促が厄介なのか。毎月の支払い期限までに家賃を支払うことは、入居者、家主双方が合意し賃貸借契約を締結している。もし、入居者が支払い期限を過ぎても家賃を支払わなかったら、当然、契約違反であり、家主が速やかに家賃を支払うように督促すること自体は正当な行為であり、問題はないはずだろう。
ところが、この家賃の督促行為はかなり慎重に行わないと、逆に入居者側から訴えられるリスクもあるため注意が必要だ。脅迫じみた督促行為が違法とみなされる場合があるからだ。具体的にどんな督促行為を行った場合、違法行為とみなされるのだろうか。
●早朝・深夜の時間帯での訪問・電話等による督促
●勤務先への訪問や電話による督促
●「家賃を支払え」などという貼り紙を入居者宅の玄関ドアに貼って督促
●入居者が外出中に、契約した住戸の玄関ドアの鍵を交換し利用できなくする督促
以上のような督促行為は、滞納家賃の督促についても適用される「貸金業法第21条第1項」に違反し「違法」とみなされる。家賃の滞納が続く場合、最終的には法的な手続きを経て「強制退去」となる。「強制退去」、つまり部屋の「明け渡し」までにはどのような過程が必要なのか。
まず、入居時に交わした「賃貸借契約」を解除する。民法上、家主と賃借人との「信頼関係の破綻」を理由に、家主側から一方的に賃貸借契約の解除を行うことができる。「信頼関係の破綻」とみなされるためには、2つの条件が必要とされている。
一つは、家賃滞納額が3カ月分程度あること。もう一つは、一定の期間支払いを求めているにもかかわらず、家賃の支払いがない状態だ。