明け渡しの強制執行の申し立て」までの4ステップ
信頼関係が破綻しているとみなされると、裁判所への「明け渡しの強制執行の申し立て」ができるようになる。いわゆる「明け渡しの申し立て」を行うために家主は賃借人に対して次のような段取りで行動を起こす。
ステップ(1)
督促状の送付
家賃を滞納している入居者に対し、支払いを求める「督促」をする。督促の方法は、主に電話、書面、訪問などで行う。ただし、前述したように督促する時間帯や方法などには注意が必要だ。督促状は間を空けて2回送る。
ステップ(2)
内容証明(通知書)の送付
複数回にわたる督促にもかかわらず、家賃が支払われない場合、「期限までに支払いがない場合は契約を解除する」旨が書かれた「契約解除の予告通知書」を「内容証明郵便」で送る。「内容証明郵便」は、いつ、誰が、誰に、どのような内容の書面を送ったのかを証明する書類だ。強制退去させるために、契約解除の通知を間違いなく届けたという第三者的な証拠の一つとして、有効かつ重要な書類となる。入居者は、内容証明による契約解除の予告通知書が届くことで、家主が法的な手続きを進める準備に入ったことを認識する。
ステップ(3)
契約解除前に全額入金があった場合の書面の取り交わし
賃貸借契約の解除の成立前に滞納家賃全額の入金があった場合は、どうすべきか。書面で、今後、契約が履行できなければただちに部屋を明け渡すことなどを明記して取り交わす。
ステップ(4)
賃貸借契約の解除と残置物放棄書の取り交わし
「契約解除の予告通知書」を入居者が受領した後、任意で退去に応じる場合は、賃貸借契約を解除する。同時に「残置物放棄書」を取り交わすことで、部屋の中にある荷物の所有権を放棄することを誓約する。なお、滞納分の家賃を分割で支払う場合は「分割払い確約書」を取り交わす。