経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)から一部を抜粋、再編集した原稿です。

退去立ち合いでは部屋の状態を共に確認

賃貸業は主に3者が関わる。アパート・マンションを所有する家主、入居者募集や賃貸管理を行う不動産会社、そしてそのアパート・マンションを借りて住む入居者だ。3者がそれぞれどのように関係するのかを、第1段階「募集~契約」、第2段階「入居」、第3段階「解約・退去」の3段階に分けて紹介する。

 

第3段階
解約・退去

 

賃貸借契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」という2種類の契約がある。

 

普通借家契約は、賃貸契約期間が満了しても、入居者が引き続き住むことを希望している場合には、家主に正当な事由(どうしてもそこに住まなければならない理由がある他、一定の事由)がない限り、家主は契約の更新を拒絶できないという規定がある。弱い立場の入居者の保護を図るという「借地借家法」の原則が適用される契約が、普通借家契約だ。これに対し、定期借家契約は、契約期間更新のない契約で、契約期間が満了した時点で終了する契約である。

 

空室解消には不動産屋に頑張って働いてもらうという。(※写真はイメージです/PIXTA)
空室解消には不動産屋に頑張って働いてもらうという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

一般的に多く利用されるのは普通借家契約で、契約期間は2年というのが一般的。契約の更新は、家主、入居者双方の契約継続(更新)の合意により更新手続きが行なわれる「合意更新」が通例となっている。特段の更新手続きがなされなかったときは、従前の契約と同一条件で更新されたものとみなされる「法定更新」となる。契約の当初に更新する旨をあらかじめ約束する更新の方法、「自動更新」もある。賃貸借契約は地域により慣習が異なり、大阪や北陸では自動更新が多い。

 

合意更新の場合は、一般的には契約満了の2カ月ほど前に、不動産会社が「契約更新について」の書面を入居者に送付する。契約書にはたいてい「解約」の条項に、入居者は1カ月前に家主または管理会社に解約の通知をしなければならないという旨の記載があるため、1カ月以内に更新に関する意向を確認する。

 

この「契約更新について」の書面は、自主管理の場合は家主自身が送るケースと仲介した不動産会社が送るケースがある。仲介した不動産会社が送る場合、更新する際の手続きを不動産会社が行い、更新手数料を入居者から受け取る。更新手数料は不動産会社によって異なるが、通常家賃の1~2カ月分だ。

 

契約を更新せず、契約期間満了で解約する場合は、退去日と退去立ち会い日を決定する。

退去立ち会いの際には、部屋の状態を確認する。入居時に、部屋の状態を入居者と共に確認し、場所ごとに写真撮影をして傷や汚れがないことを確認するが、その時に確認した資料をもとに、退去立ち会いでは両者で確認する。その際、明らかに経年劣化や通常使用で汚損・損傷してしまった場合の修繕費は家主負担となるが、入居者が故意に壁や床などを傷つけたり壊したり汚したりした場合の修繕費は入居者負担となる。

 

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1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

永井 ゆかり

プレジデント社

ひと昔は、大家さんというと「不労所得が得られる」と言われた。現在は人口が減少し、空室は増え、入居者の層も多様化し、世の中が複雑化したことで、大家の経営の難易度は確実に上がっている。しかし、やり方さえ間違わなけれ…

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