経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)から一部を抜粋、再編集した原稿です。

「借地付き物件」勉強不足が招いた悲劇

不動産が安い理由は、買いたいと思う人があまりいない、つまり人気がないということだ。そこで、まず不動産で人気がない物件の特徴を挙げてみよう。

 

(1)建物が古い
(2)立地が悪い
(3)空室だらけで家賃収入が少ない
(4)借地権が付いている
(5)土地に接道がなく建て替えができない
(6)事故物件である
(7)特殊な物件である
(8)売主に事情がある

 

主に以上の8つの理由がある。この8つの理由をさらに分析して、高利回りで運用できる可能性があるか、可能性があるとしたら何がポイントになるかを探ってみよう。

 

借地権付き物件——「土地は借り物」であることを忘れない

 

借地権付き物件とは、地主から借りている土地に立っている建物のことだ。不動産は、よほどの田舎でない限り、基本的に建物より土地の値段の方が高い。そのため、土地が借地の場合、土地代がない分、物件価格は安くなる。借地権付き物件は、建物が古いケースが多く、都心部の好立地でも安く購入できるため利回りは高くなる。しかし、この借地権付き物件には注意も必要だ。

 

借地権付き物件は、都心部の好立地でも安く購入できるため利回りは高くなるが。(※写真はイメージです/PIXTA)
借地権付き物件は、都心部の好立地でも安く購入できるため利回りは高くなるが。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

資産運用の一つとして不動産購入を考えていた鈴木さん(仮名)。インターネットで、自称「不動産コンサルタント」と知り合いになり、都内の借地権付き一軒家を紹介された。好立地で家賃も高水準、買わない理由はないと判断したという。鈴木さんが不動産コンサルタントに購入の意思を伝えると、不動産会社の人だと思っていたコンサルタントは、「では、契約の諸手続きをしてくれる不動産会社を紹介しましょう」と言って、知り合いの不動産会社を紹介してきた。その不動産会社の営業マンは、多くの書類を持ってきて、鈴木さんに書類を次々に渡し、どんどん判を押すように促した。鈴木さんは言われるがまま判を押し、決済を終え念願の家主となった。入居者も募集するとすぐに決まったという。

 

ところが、6カ月後に悲劇が起こった。鈴木さんのもとに、地主から地代を滞納したとの理由で、借地契約の解除通知が届いたのだ。最初は何のことかわからなかった鈴木さん。たまたま、ある不動産の勉強会で知り合いになった不動産会社の社長に相談したことから、自身の置かれている状況がようやく理解できたという。

 

鈴木さんは、借地権付き物件を購入したにもかかわらず、地代を払わなくてはいけないことを知らなかったのだ。これには相談を受けた不動産会社社長も呆れたという。「借地契約書があったでしょう」と社長が尋ねると、「契約時にいろいろな書類に判を押したので、何が何の書類か正直わからない。おそらく家にあるとは思いますが」と答える始末だった。

 

通常は、地代の滞納がある場合、催告をしないと借地契約は解除できないが、催告をしなくても借地契約が解除できる「無催告解除特約」というものがある。借地契約の契約書等に「〇カ月分の賃料滞納があった場合、催告をすることなく契約を解除することができる」などの特約が取り決められている場合、地主は催告せずに借地契約を解除することが認められる場合があるのだという。

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1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

永井 ゆかり

プレジデント社

ひと昔は、大家さんというと「不労所得が得られる」と言われた。現在は人口が減少し、空室は増え、入居者の層も多様化し、世の中が複雑化したことで、大家の経営の難易度は確実に上がっている。しかし、やり方さえ間違わなけれ…

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