経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)から一部を抜粋、再編集した原稿です。

徹底的に税金を抑える方法を考えよ

最後に(7)の税金。家主業の場合、家賃収入から必要経費を差し引いたものが「不動産所得」となる。その年分の不動産所得に対して課税される税金は、翌年2月16日から3月15日までの間に申告・納付する手続きをとる。

 

税金を抑える方法はさまざまだが、まず基本的な部分を押さえる意味では、個人の家主業の場合は「青色申告」を行うことがポイントになることを知っておこう。申告方法には「白色申告」と「青色申告」があるが、「青色申告」の申請を行い手続きをすると、「青色申告特別控除」が10万円から受けられて、課税対象額を減らすことができるのだ。

 

所有不動産の規模が事業的規模(概ね5棟10室以上)になると、複式簿記による帳簿をつけることで、青色申告特別控除額を10万円から65万円(2020〔令和2〕年より、帳簿を法律で認められた電子保存をしているか、電子申告を行う場合以外には、55万円)へと拡大することができる。青色申告については、個人の場合、税務署に行くと親切に教えてくれるので、わからないときは税務署に相談してみよう。

 

なお、減価償却費は、キャッシュフローを計算する上での支出にはならない。法定耐用年数に応じて毎年分割して、税金計算上の経費として計上していくというものだ。実際は「目に見えない支出」であるが、経理上は非常に重要で、実際にお金は出ていかないが、帳簿上は経費計上できるため課税される税額が低くなる。減価償却費を計上できる期間は建物の法定耐用年数によって決まる。

 

新築の場合は、前述した各建物の構造で定められた法定耐用年数、中古建物の場合は、法定耐用年数から築年数に0.8をかけた年数を差し引いた年数を、その建物の耐用年数とする。例えば、築10年の木造アパートを購入した場合は、木造の法定耐用年数22年から築10年に0.8をかけた年数を引いた14年が耐用年数となり、減価償却期間となる。

 

木造アパートの築年数が、木造の法定耐用年数の22年以上の場合の減価償却は、次のような計算式で算出することが決まっている。

 

耐用年数=法定耐用年数×0.2

 

つまり、築22年以上の木造アパートの場合は22×0.2=4年となる。

 

以上のように、家賃収入の額だけではなく、支出をいかに抑えてキャッシュフローを出すかが重要だ。

 

永井ゆかり
「家主と地主」編集長

 

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永井 ゆかり

プレジデント社

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