アパート経営は7つの支出を管理できるか
家主業の売り上げは家賃収入だ。家賃収入には、住宅の貸し付けによる「賃料収入」の他に「礼金」「更新料」「共益費」などが含まれる。不動産投資家が書いた本に「主婦でも家賃収入〇万円稼げた」とか、「たった2年で家賃収入〇万円」というようなタイトルがよくあるが、ここで勘違いしてほしくないことは、家賃収入すべてが儲けではないということだ。収入から支出を差し引いた金額がキャッシュフロー(手残り)となる。
では、家主業の支出とは何だろうか。
(1)借金返済額
(2)管理費
(3)修繕費(リフォーム費)
(4)仲介手数料
(5)広告料
(6)保険料
(7)税金
以上が主な支出となる。
この支出の中で、大半の家主にとって大きな割合を占めるのは(1)の借金返済額だろう。スルガ銀行の不正が起きるまでの2、3年は、「自己資金ゼロでも購入できる」というようなセールストークで不動産販売が行われてきたが、購入時の自己資金が少なければ、当然、購入後の借金返済額が多くなる。家賃収入における借金返済額の比率を「返済比率」と呼ぶが、この返済比率が高ければ高いほど、キャッシュフローは少なくなる。逆に返済比率が低いと、キャッシュフローは多くなる。
この借金返済額がキャッシュフロー以上になると、プライベート口座の預貯金から返済しなくてはいけない。つまり、資産を増やすために始めたはずなのに、資産を切り崩す事態になりかねないので注意しなくてはいけない。
返済比率はどのくらいまでに抑えておくべきか。一般的には空室リスクを基準に考える。賃貸住宅の空室率はおよそ20~30%ということを考慮して、そこに他の支出も含めて検討すると、50%以内が妥当だろう。詳細は後述するが、借金の返済額は「固定金利」なら変化しないが、「変動金利」で融資を受ける場合は変化する。金利が下がれば返済額は減るし、金利が上がれば返済額は増えるのだ。
月々の借金返済額は、金利だけでなく、「借入期間」によっても変わってくる。借入期間は築年数がベースになる。新築の場合はマイホーム同様に最長35年ほどで組めるが、築年数が古いと、建物の法定耐用年数から築年数を差し引いた年数分が上限となるケースが圧倒的に多い。返済期間が長ければ、支払い総額は多くなるが、年単位の借金返済額を抑えることができる。
借金返済額については「金利」と「借入期間」が大きく影響することに留意したい。