経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)から一部を抜粋、再編集した原稿です。

不定期に発生する支出を把握して備える

借金返済額以外の主な支出を把握する

 

(2)の管理費は、通常管理委託契約の場合は毎月家賃収入の5%程度、サブリースの場合は10~15%となる。借金返済額と管理費は毎月発生する支出だ。月単位で考えると、家賃収入からこの2つの支出を差し引いた金額を、間違って「儲け」と捉えてしまいがちだ。実際、初心者が勘違いして使い込んでしまうケースは少なくない。

 

しかし実際は、この2つの支出の他に不定期に発生する支出がある。(3)の修繕費、(4)の仲介手数料、(5)の広告料だ。その支出を把握して備えることが重要だ。準備しておかないと、いざ支払いが必要なときに手元に資金がなく、プライベート口座の預貯金から支払わなくてはいけなくなる。

 

修繕費には大きく分けて2つある。一つは、設備や建具が破損・故障したときに交換する費用だ。設備は概ね寿命が決まっているため、いつ設置したのかさえわかれば、次の交換時期の見当をつけることができる。修繕の時期が、いつどのくらいで発生するか見積もることができれば、予算立てができる。例えば、エアコンや給湯器がいつ設置したものかを確認して、交換時期を6~8年くらいで見ておけば、いざ故障し交換が必要になったときにも慌てずに済む。

 

修繕のもう一つは、退去の度に発生する原状回復費だ。入居期間は、当然、入居者によって異なってくる。2年契約でも、1年ほどで退去するケースもあるし、更新を重ねて10年以上住むケースもある。入居者の更新のタイミングはわかるが、実際の退去時期はわからない。

 

入居者が快適に住むことのできない賃貸住宅であれば、退去スピードは速くなる。騒音や管理状況の問題、実際住んでみたが、生活しにくい部屋だったなどの理由で2年以内の退去や更新せずに退去になるケースもある。家主業では、いかに入居者に快適に住んでもらう賃貸住宅を提供できるかが重要なのだ。

 

契約時に不動産仲介会社に支払う仲介手数料や広告料は、退去が多く新規契約が増えれば、当然増える。退去が少なければ、減らせる費用であることを認識しておきたい。

 

(6)の保険料は、建物にかける火災保険料。火災保険は、賃貸経営する上で必要不可欠だ。火災保険には、火災や自然災害等による財物損壊リスク、漏水事故や屋根の剥がれ等、建物の所有、使用または管理に起因する賠償リスクなど、通常の火災保険で補償されるものに加え、火災や自然災害による建物修復時の一時的な家賃減少リスクや、死亡事故発生に起因するリスクに対応する保険商品もある。

 

保険料は、どの会社のどの保険に加入するかによって、当然金額も変わってくる。安ければいいわけでもないし、高い保険金が出るものであればいいというわけでもない。どのような保険商品がよいのか、約款をきちんと読み、理解した上で加入することが重要だ。火災保険は建物ごとに加入するため、所有建物が増えれば増えるほど、支払いも増えることになる。

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1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

永井 ゆかり

プレジデント社

ひと昔は、大家さんというと「不労所得が得られる」と言われた。現在は人口が減少し、空室は増え、入居者の層も多様化し、世の中が複雑化したことで、大家の経営の難易度は確実に上がっている。しかし、やり方さえ間違わなけれ…

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