新型コロナウイルスの感染拡大によって不動産の世界は激変している。景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『不動産激変 コロナが変えた日本社会』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

加速するシェアリングビジネスの5分野

シェアリングエコノミーとは、何でしょうか。シェアリングエコノミー協会の定義によると、シェアリングエコノミーとは「『場所』『乗り物』『ひと』『お金』などの遊休資産をインターネット上のプラットフォームを介して個人間で賃借や売買、交換していくことでシェアしていく新しい経済の動き」だと定義しています。

 

そしてシェアリングエコノミーの事業領域は『空間』『もの』『お金』『移動』『スキル』といった5つの領域にわたると言われています。

 

不動産の「利用」分野でシェアリングエコノミーは始まる。(※写真はイメージです/PIXTA)
不動産の「利用」分野でシェアリングエコノミーは始まる。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

『空間』におけるものとしては、住宅を民泊などに提供するビジネスがあります。これはairbnb(エアービーアンドビー)などといったプラットフォームサービスを展開する会社が、一般住宅を民泊として外国人旅行者などに提供するサービスをいいます。他にも住宅の駐車場の空きスペースを貸し出す、会議室やパーティースペースなどの一時利用を行なうなどのサービスが展開されています。

 

また『もの』におけるものとしては、衣装を貸し借りするメルカリのようなサービス、プロがコーディネートした服を借りて着ることができるair Closetなどがあります。

 

『お金』はクラウドファンディングが活発に行なわれるようになっていますし、『移動』はタクシー配車サービスや自転車シェアサービスなどがあります。

 

『スキル』としては家の掃除や修繕、家具の組み立て、語学などちょっとしたスキルを近所で手軽に助け合うANYTIMESのようなサービス、特異な知識、経験、スキルなどを売買するcoconaraといったサービスが展開されています。

 

シェアリングエコノミー市場は今後急成長すると見られ、経済産業省平成27年版「情報通信白書」によれば、全世界でのシェアリングエコノミー市場は2013年の150億ドルからわずか12年後の2025年では3350億ドルになると予測されています。

次ページ不動産の「利用」分野で始まるシェアリング
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