かつて日本には、高額な所得や納税額を得た人の氏名などを公表する「高額納税者公示制度」がありました。一般に「長者番付」と呼ばれたこの制度は、昭和22(1947)年から平成17(2005)年まで続きました。そこに名を連ねた人々を時代ごとに追っていくと、戦後日本の産業構造や経済の変化が浮かび上がります。石炭会社の経営者、メーカーの社長、土地を売却した「土地長者」、そしてIT関連事業で成功した人々――。今回は、長者番付の変遷から、日本の「お金持ち」の姿がどのように変わってきたのかを見ていきます。
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戦後に始まった「長者番付」…なぜ高額納税者を公示したのか
高額納税者公示制度、一般的に「長者番付」と呼ばれる制度は、昭和22(1947)年から平成17(2005)年まで、高額納税者の氏名や納税額などを公示するものでした。対象となった税目は、所得税、法人税、相続税・贈与税です。
公示制度が導入されたのは、終戦直後の時期でした。昭和21(1946)年11月には財産税法が制定され、同法に第三者通報制度が規定されています。
この制度は、財産税について無申告あるいは過少申告の事実を政府に通報した者に対し、通報によって生じた追徴税額の2割5分以下、10万円を限度として報奨金を交付するものでした。
その後、この制度は廃止され、現在は適用されていません。一方、米国などでは現在も一定の条件のもとで報奨金制度が設けられています。
高額納税者公示制度は、財産税における第三者通報制度とは異なるものですが、国民が広く高額所得者の所得などを監視するという意味合いも持っていました。
国際課税研究所首席研究員 博士(会計学)。
中央大学大学院商学研究科修士課程修了。昭和50年東京国税局に勤務、平成2年退職。産能短期大学助教授、日本大学商学部助教授、教授を経て平成14年中央大学商学部教授(平成30年退職)。税務大学校講師、専修大学商学研究科非常勤講師、慶應義塾大学法学研究科非常勤講師、新潟産業大学経済学部非常勤講師、武蔵大学経済学部非常勤講師を歴任。
著書に『国際課税と租税条約』(ぎょうせい、第1回租税資料館賞受賞)、『租税条約の論点』(中央経済社、第26回日本公認会計士協会学術賞)、『移転価格税制の理論』(中央経済社) 、『詳解日米租税条約』(中央経済社)など。
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