2005年に廃止…その後は「IT長者」が注目される時代に
高額納税者公示制度は平成17(2005)年に廃止されました。
所得税については、昭和45(1970)年分から所得1,000万円超が公示の対象となり、昭和58(1983)年分以降は税額1,000万円超が公示要件となりました。
しかし、平成に入ると、個人情報やプライバシーをめぐる社会の意識も変化していきます。
平成15(2003)年5月には「個人情報の保護に関する法律」が制定され、平成17(2005)年4月に全面施行されました。こうしたことなどを背景に、個人のプライバシー保護の観点から高額納税者公示制度は廃止されました。そのため、現在では当時のように「日本一の高額納税者は誰なのか」を公的な資料から確認することはできません。
一方、公示制度が廃止された後には、IT関連事業などで成功した経営者や起業家が「IT長者」として注目されるようになります。
戦後の長者番付を振り返ると、そこには単に「お金持ちの名前」が並んでいたわけではありません。その時代に、どの産業が成長し、どこで大きな所得が生まれていたのかという、日本経済の変化そのものが映し出されていたのです。
石炭から製造業へ、そして土地へ、さらにITへ――。長者番付の変遷は、戦後日本の産業と富のあり方が移り変わってきた歴史の一面を示しています。
矢内 一好
国際課税研究所
首席研究員
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