(※写真はイメージです/PIXTA)

大規模災害などによって東京の首都機能が失われた場合に備え、政府は副首都構想を進めています。北海道、愛知、大阪、福岡の4道府県が指定要件を満たすとの認識が示され、具体的な議論が始まりました。一方、副首都の整備には多額の費用が必要となります。東京都への税収の偏在是正や、令和9年度税制改正との関係も含め、今後の焦点はどこにあるのでしょうか。国際課税研究所首席研究員の矢内一好氏が解説します。

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副首都の候補として4道府県が浮上

副首都法(「国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律」、令和8年法律第78号)が成立しました。これを受け、「国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律の施行期日を定める政令」及び「国家社会機能継続性確保施策・副首都整備推進本部令」が令和8年10月23日に、「国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律施行令」が同月27日に閣議決定されました。副首都法は10月30日に施行され、副首都を巡る具体的な議論が始まります。

 

10月27日の記者会見で、木原官房長官は、大規模災害などの際に東京の首都機能を代替する副首都について、北海道、愛知県、大阪府、福岡県の4道府県が現行の指定要件を満たしているとの認識を示しました。また、4道府県とも要件を満たしたうえで指定を申し出れば、いずれも副首都に指定されるとの考えを示しています。

 

ただし、現時点で4道府県が正式に指定されたわけではありません。今後、実際にどの地域が指定されるのかに注目が集まります。

東京都への税収の偏在是正と副首都の財源問題

副首都の指定と並んで注目されるのが、東京都への税収の偏在を是正するという課題です。令和9年度税制改正でも、地方税収の偏在是正が議論される可能性があります。

 

東京都の税収の約3分の1を占めるのが、法人二税(法人住民税と法人事業税)です。令和7年度当初予算では、都税収入に占める法人二税の割合は36.6%となっています。この税収の偏在を是正するため、これまでも法人二税の一部を国税化し、地方に再配分するなどの施策が講じられてきました。

 

現在、消費税の減税法案が審議されているなか、副首都の整備に必要な財源を確保するために、政府が新たな増税という選択肢を採ることは容易ではないでしょう。

 

なお、副首都の整備費用を考えるうえで参考となる数字に、約7.5兆円という試算があります。これは平成9年に行われた首都機能移転に関する試算で、行政機関の半分を移転する場合の費用として示されたものです。現在の副首都構想そのものの整備費用を示す数字ではありませんが、行政機能の移転には多額の費用がかかることを示す参考値といえます。

 

副首都の指定数と、それに伴う財源をどのように確保するのかが注目されます。ちなみに、東京都の令和7年度一般会計当初予算は9兆1,580億円で、このうち都税収入は6兆9,296億円です。

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