「娘の力になりたかった」孫の迎えを断れなくなった71歳母
71歳の美佐子さん(仮名)は、夫と2人で暮らしています。自宅から自転車で10分ほどの場所には、43歳の娘・理恵さん(仮名)の家があり、小学2年生の孫がいます。
理恵さんは共働きで、夫婦ともにフルタイム勤務。孫が小学校に入学した頃、放課後の預け先について相談を受けたことが、送迎を始めるきっかけでした。
「学童には入れたんだけど、仕事が終わるまでに迎えに行けない日があるの。週に2日くらい、お母さんにお願いできないかな」
美佐子さんは孫と過ごす時間が好きだったため、快く引き受けました。
午後5時半頃に学童へ迎えに行き、自宅で孫を預かって、午後7時過ぎに理恵さんが迎えに来るのを待つ。最初は週2日ほどだったものの、理恵さんの仕事が忙しくなるにつれて、週3日、週4日と増えていったそうです。
「娘も仕事を頑張っているし、孫もかわいいですからね。私が手伝えるうちは、できるだけ協力したいと思っていました」
ただ、送迎を始めて1年ほどたつ頃には、孫の迎えを中心に一日の予定を組むようになっていたといいます。
午後は迎えの時間を気にして遠出を控え、友人との食事も早めに切り上げるようになりました。孫が来る日は夕食を用意することも多く、買い物や献立を考える時間も増えていきます。
夫から「たまには2人で出かけよう」と誘われても、平日は孫の迎えがあるため、なかなか予定を合わせられません。
「娘からは毎回ありがとうと言ってもらっていました。でも、いつからか『明日はお願いできる?』ではなく、『明日は何時に迎えに行ける?』と聞かれるようになったんです」
ある日、美佐子さんは以前から楽しみにしていた友人との日帰り旅行に誘われました。ところがその日は、孫を迎えに行く予定の日。
「娘に相談したら、『その日はどうしても残業があるから、別の日にできない?』と言われてしまって。結局、旅行は断りました」
理恵さんにも事情があるとわかっていたため、そのときは不満を口にしなかったといいます。
しかし、その数週間後、美佐子さんは夕方の迎えに向かう途中で足をひねってしまいます。その後も、しばらく歩くと痛みが出る状態が続いていました。
整形外科を受診したところ、大きなけがではないものの、痛みが続く間は無理をせず、歩く距離を減らすよう勧められたそうです。
それでも娘の仕事を考えると、なかなか迎えを断ることができませんでした。
