租税条約に規定されていることがポイントに
教会税について考えるうえで重要なのが、デンマークとフィンランドとの租税条約に教会税が明記されていることです。
租税条約に教会税の規定がなければ、外国税額控除の対象になるかどうかについて、別途慎重に検討する必要があります。
一方、日本とデンマーク、フィンランドとの租税条約では、教会税が対象税目として規定されています。
そのため、これらの国で日本の居住者が負担した教会税については、租税条約の規定を踏まえ、日本における外国税額控除の対象となり得るものと考えられます。
ただし、実際に外国税額控除を適用できるかどうかは、納税者の居住地や所得の種類、現地で課された税の内容、日本の所得税法上の要件などを個別に確認する必要があります。
「租税条約に教会税が書かれているから、支払った金額の全額をそのまま外国税額控除できる」と単純に考えることはできません。
海外勤務・海外所得がある人は教会税にも注意
日本では、宗教に関する税といえば、宗教法人に対する課税や、宗教法人が行う収益事業などが話題になることが多く、信徒個人が教会税を負担する制度はほとんど知られていません。
しかし、海外に目を向けると、教会の財政を支えるために、国家の徴税制度と結びついた仕組みを採用している国があります。
特に、日本とデンマーク、フィンランドとの租税条約では教会税が対象税目として規定されているため、日本の居住者がこれらの国で教会税を負担した場合には、日本の税務にも関係してきます。
海外勤務や海外投資などによって外国で所得を得ている人にとって、外国税額控除は重要な制度です。現地でどのような税を負担したのかを確認する際には、一般的な所得税だけでなく、教会税のような日本ではなじみの薄い税についても、その性質や租税条約上の取り扱いを確認する必要があります。
宗教制度の違いから生まれた「教会税」が、実は日本の国際課税にもつながっているのです。
矢内 一好
国際課税研究所
首席研究員
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