「毎月渡すのは今年で終わり」孫の高校進学を機に決めたこと
「最初は、本当にちょっとしたお小遣いだったんですよ」
そう話すのは、72歳の節子さん(仮名)です。夫を亡くし、現在は一人暮らし。公的年金は月約14万円で、住宅ローンを完済した自宅に住んでいます。
節子さんには45歳の長女・真由さん(仮名)がいます。真由さんは夫と高校1年生の息子との3人暮らしです。
長女一家は車で30分ほどの場所に住んでおり、孫が小学生だったころから月に1回程度、節子さん宅を訪ねていました。そのたびに節子さんが渡していたのが、お小遣いです。
小学生のころは1,000円程度でしたが、中学生になると3,000円、高校入学後は5,000円になりました。誕生日やお年玉は別です。
「娘から『ちょうだい』と言われたことはありません。でも孫が来たら渡すもの、みたいになっていました」
孫も「ありがとう」と受け取り、節子さんも喜ぶ顔を見るのが楽しみでした。
ところが高校生になってから、少し様子が変わります。孫には部活動や友人との予定が増えました。
祖母宅へ来ても、食事をするとすぐ帰ることがあります。スマートフォンを見ている時間も長くなりました。節子さんは寂しさを感じながらも、「高校生ならそんなものだろう」と考えていました。
一方、自分の家計について考える機会も増えていました。
総務省『家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果』によると、65歳以上の単身無職世帯では、1ヵ月の実収入は13万1,456円、可処分所得は11万8,465円。それに対して消費支出は14万8,445円となっています。平均では可処分所得を消費支出が月2万9,980円上回っています。年金以外の資産を取り崩す生活が想定されます。
節子さんも年金だけですべての支出を賄えているわけではありません。
ある日、節子さんはふと思いました。
「高校生になったんだし、毎月渡すのはもういいんじゃないかな」
次に長女一家が来た際、帰り際に真由さんへ伝えました。
「お小遣いなんだけど、毎月渡すのは今年で終わりにしようと思ってるの。お年玉や誕生日は今まで通りにするけどね」
真由さんは、「うん、それでいいと思う」と答えました。ここまでは、節子さんも予想していた反応でした。ところが続けて、長女が何気なく口にした言葉が引っかかりました。
「じゃあ、無理に毎月こっちに来なくてもいいよね。あの子も最近忙しいし」
