「火曜と木曜だけなら」週2日から始まった孫の預かり
「最初は、娘が仕事に戻るまでの間だけのつもりでした」
そう話すのは、68歳の恵美子さん(仮名)です。同い年の夫・修さん(仮名)と2人で暮らしています。
夫婦には2人の子どもがおり、長女の美咲さん(仮名・39歳)は夫と小学2年生、5歳の子どもの4人暮らし。車で20分ほどの場所に住んでいます。
夫婦の年金は月約27万円、貯蓄は約3,000万円。住宅ローンも完済しています。
孫を定期的に預かるようになったのは、2年ほど前でした。育児休業を終えた美咲さんが職場復帰することになったものの、夫婦とも帰宅が遅くなる曜日があったのです。
「火曜日と木曜日だけ、保育園のお迎えをお願いできない?」
恵美子さんは快く引き受けました。当時、修さんもすでに退職しており、夫婦とも平日の予定には比較的余裕がありました。
夕方に下の孫を迎えに行き、自宅へ連れて帰る。上の孫も学校が終わるとやってきます。夕食を食べさせ、午後8時ごろに仕事を終えた娘が迎えに来るという流れでした。
「孫に会えるのはうれしかったですよ。夫も一緒に遊んでいましたし、週2日なら大丈夫だと思っていました」
ところが、半年ほどすると、預かる日は少しずつ増えていきます。
「今日、残業になりそうなんだけど大丈夫?」
「土曜日、2人を見てもらえないかな?」
美咲さんから急な連絡が来ることもありました。
もちろん、毎回引き受けていたわけではありません。それでも、特に予定がなければ「いいよ」と答えることがほとんどでした。
いつしか娘も、「火曜と木曜は両親にお願いできる」という前提で勤務予定を組むようになっていきました。
恵美子さん自身も、それを不満に思っていたわけではありません。ただ、孫を預かる日は、思っていた以上にやることがあります。
夕食は大人2人分ではなく4人分。子どもが食べられる献立を考え、食材も多めに買います。下の孫を保育園へ迎えに行き、帰宅後は着替えや食事を手伝います。
食後も「お風呂に入りたい」「一緒に遊ぼう」と休む暇はありません。
「帰ったあとは、夫と『今日も疲れたね』って言っていました。でも次の日には元気になるので、それほど深刻には考えていなかったんです」
変化を感じ始めたのは、恵美子さんが68歳になったころでした。
ある木曜日、孫たちを送り出したあと、ソファに座ったまま動く気になれず、夕食の後片付けを翌朝まで残してしまいました。翌日には友人と出かける予定がありましたが、それも断りました。
「そのとき初めて、孫を預かった翌日に予定を入れるのがしんどくなっていると気づいたんです」
内閣府『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査』では、60歳以上の61.4%が就労や趣味、地域活動など何らかの社会的活動を継続していると回答しています。高齢期の生活には、家族との関わりだけでなく、仕事や趣味などさまざまな時間があります。
