(※写真はイメージです/PIXTA)

2026年7月28日16時27分、熊本県熊本地方を震源とする地震が発生し、熊本県宇城市・氷川町で最大震度7を観測しました。マグニチュードは7.1、震源の深さは約10kmとみられています。震度7の観測は、2024年1月の能登半島地震以来です。熊本地震により被災された企業では、建物や設備の損壊だけでなく、営業停止による売上減少、従業員への給与対応、今後の事業再開に向けた資金確保など、さまざまな課題に直面しています。本記事では、過去の大規模災害で実施された支援制度も参考にしながら、被災企業が今後活用を検討できる融資・補助金・税務・労務対応について整理します。また、たいさんぼく社労士・行政書士事務所の安部香織氏の解説を交え、災害時に経営者が注意すべき雇用や従業員対応についても紹介します。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

地震によるけがは労災保険の対象になる場合も

災害発生時には、建物や設備の被害だけでなく、従業員の負傷にも注意が必要です。「地震によるけがは労災保険の対象にならない」と考えてしまうケースがありますが、必ずしもそうではないといいます。

 

業務中に被災した場合、災害の原因が地震であっても、業務に伴う危険が地震によって現実化したと認められる場合には、労災保険給付の対象となる可能性があります。

 

例えば、

・作業中に地震の揺れによって高所から転落した
・事業所内で設備や陳列棚などが倒壊し、従業員が負傷した
・業務中に地震による危険が発生し、その対応過程で負傷した

といったケースでは、事故の状況を踏まえて労災に該当するか判断されます。

 

「地震や津波などの自然災害が原因の場合、『会社の責任ではないため労災にならないのではないか』と考える事業主もいます。しかし、労災保険では、事故の原因が自然災害であるかどうかだけで判断するわけではありません。業務中に発生した災害で、業務に伴う危険が現実化したと認められるかどうかが重要になります」(安部氏)

 

過去の大規模災害でも、地震による被害について、業務との関連性が認められたケースでは労災認定が行われています。

一方で、休日や勤務時間外など、業務との関連性が認められない場合には、労災保険の対象とはなりません。

 

「災害発生時は、従業員が出勤中だったのか、勤務中だったのか、避難や救助活動が業務上の行動だったのかなど、状況によって判断が分かれます。事業主側で『対象外』と決めつけず、事故の事実関係を整理したうえで、労働基準監督署に相談することが大切です」(安部氏)

社会保険料・労働保険料の納付猶予など

過去の大規模災害では、被災した事業主に対して、社会保険料や労働保険料について特例措置が講じられた例があります。

 

具体的には、

・社会保険料の納付猶予
・労働保険料の申告・納付期限の延長
・標準報酬月額の特例改定

などがあります。

 

安部氏は「災害によって事業活動が大きく縮小し、従業員の給与水準が変化した場合には、社会保険手続きにも影響する可能性があります。今回の地震についても、今後、関係機関から特例措置が発表された場合には、対象となる事業者は積極的に活用を検討することをお勧めします」と言います。

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