「最高の老後が始まった」…夫婦で楽しんだスイス旅行
三浦さん(65歳・仮名)は、長年勤めた大手メーカーを定年退職。退職金は1,500万円で、現役時代からの貯蓄と合わせ、金融資産は3,600万円ほど。住宅ローンも完済しており、夫婦の公的年金は約月26万円です。
「これなら、夫婦2人で普通に暮らしていけると思っていました」
退職してすぐ、妻の恵子さん(65歳・仮名)とともに、長年の夢だったスイスへ。8泊10日で、かかった金額は2人で約160万円です。
「現役時代は仕事や子育てで、海外旅行といっても韓国や台湾など近場がせいぜい。リタイア記念だから奮発しました」
帰国の機内では、次の旅行の話までしていたといいます。ところが、帰宅した2人を待っていたのは、旅行の余韻を一瞬で吹き飛ばす光景でした。
リビングにいたのは、長女の香菜さん(38歳・仮名)と、2人の子ども。
「お父さん、お母さん、おかえりなさい。合鍵使って入っちゃった。……しばらく、ここに置いてもらえないかな」
「もう家には戻れない」…娘一家が実家に戻ってきた理由
香菜さんは会社員の夫と結婚し、小学4年生と3歳の子どもを育てていました。下の子が生まれてから勤務時間を減らし、家事や育児の大半を担ってきました。一方、夫は仕事が忙しく、家事や育児をめぐって衝突することが増えていったといいます。
「私だって働いているのに、家のことも子どものことも全部私。何度話しても分かってもらえなくて……」
ついに「もう夫婦としてやっていけない」と離婚を切り出したといいます。夫もすぐ同意しましたが、問題はその後でした。家を出ることになり、2人の子どもを連れて新しい住まいを探そうにも、手元にあるお金はわずか。
離婚協議中で、夫からの婚姻費用や離婚後の養育費についても、まだ具体的な金額は決まっていません。安定した収入のない香菜さんにとって、新居の敷金・礼金や引っ越し費用まで用意するのは難しい状況でした。
「私もこの子たちも、行くところがないの」
それを聞いて、三浦さんは膝から崩れ落ちるような気分になったといいます。
「娘が困っているなら助けたい。孫たちを追い返すことなんてできませんよね」
そう思う一方、三浦さんの胸には別の不安も広がっていました。 ――自分たちの老後は、どうなるのか。
