「遊園地に行きたい」…孫のおねだりを静かにかわす
「ばあば、遊園地行こうよ、お願い!」
「水族館も連れてって!」
小学4年生と2年生の孫からの、かわいいおねだり。かつては笑顔で「もちろん、いこう!」と即答していた68歳の香代子さん(仮名)でしたが、以前のようには応えられなくなりました。
「遊園地と水族館、楽しそうね。でも、ばあばとじいじは行かないわ。パパとママといってらっしゃいな」
かわいい孫からの誘いを断る。周囲から見れば、少し冷たい祖母に映るかもしれません。 しかし、香代子さんには、そうせざるを得ない理由がありました。
「孫と出かけること自体が嫌なわけではないんです。でもね……」
香代子さんにとって、近くに住む長女の奈美さん(36歳)と孫が遊びに来るのは楽しみな時間でした。しかし、少しずつ事情が変わってきました。
「子どもたちが『じいじ・ばあばと科学館に行きたい』って。またお願いしていい?」
「新しい電子ピアノを買ってあげたいけど……高いんだよね」
こうした娘からの“おねだり”は一度や二度ではありません。食費や日用品、誕生日、レジャー、習い事の援助にいたるまで、娘一家のために使うお金は、年々増えていました。
夫の誠一さん(70歳)と2人暮らし。夫婦の年金は月約22万円ですが、この5年で約2,400万円あった預貯金は1,900万円ほどに減っていました。自分たちの生活費用の補填だけでなく、「孫費用」が大きな理由であることは明らかでした。
「娘は、私たちには頼っていいと思っているんでしょう。孫のためだから、喜んでいると思っているのかもしれません。確かに、私も夫も頼まれると断れなかった」
しかし、物価高で日々の生活費は上がり、夫婦の医療費も少しずつ増えてきました。自宅の給湯器もそろそろ交換が必要です。減るばかりの貯金に、香代子さんは、ふと不安になったといいます。
「何歳まで生きるかわからないのに、このまま孫のために使い続けて、私たちのお金がなくなったらどうするんだろうって。通帳を見て怖くなったんです」
