エコノミストのコンセンサス予想に基づくと、世界経済は2025年も堅調に成長することが見込まれます。なかでもカギを握るのが、今月20日に新トランプ政権が発足する米国経済です。フィデリティ・インスティテュート主席研究員でマクロストラテジストの重見吉徳氏が、世界経済の動向とともに、投資家が注目すべきポイントについて解説します。
米国市場で気になる「大型株」のバリュエーションと偏り
1.米大型株式のバリュエーション
他方で、米国の大型株式(=時価総額が大きな銘柄群;代表的な株価指数はS&P500やラッセル1000など)はバリュエーションが高くなっています。
過去のデータに基づけば、「いまから3年くらい」は年率10%程度の株価上昇率が続く場合もあります。ただし、[図表5]にも示すとおり、「いまから10年程度の長期間」を考えると、現在のような「高いバリュエーション(=低い期待リターン)で購入したときには、低い実現リターンに留まる」ことが示されます。そして、この平均回帰の信頼性は高いことがわかります。
2.米大型株式の偏り
加えて、米国の大型株式市場では「時価総額が大きい7つの企業※」が時価総額全体の3分の1程度、12ヵ月先予想1株利益の4分の1程度を占め、依存度が大きくなっています。
※アップル、エヌビディア、マイクロソフト、アマゾン、アルファベット、メタ、テスラの7社
しかも、これらの銘柄は業種やテーマ(たとえば、「人工知能(A.I.)に関する研究開発や設備投資」)が似通っているため、値動きも互いに高い相関があります。誤解を恐れずにいえば、米国株式市場の投資家は、資金の3分の1程度を「単一のかたまり(銘柄)」に投じています。
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フィデリティ投信株式会社
マクロストラテジスト
大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了後、農林中央金庫にて、外国証券・外国為替・デリバティブ等の会計・決済業務および外国債券・デリバティブ等の投資・運用業務に従事。
その後、野村アセットマネジメントの東京・シンガポール両拠点において、グローバル債券の運用およびプロダクトマネジメントに従事。
アール・ビー・エス証券にて外国債券ストラテジストを務めた後、2013年にJ.P.モルガン・アセット・マネジメントに入社、2019年同社マネージング・ディレクターに就任。ストラテジストとして、個人投資家や販売会社、機関投資家向けに経済や金融市場の情報提供を担う。2020年8月、フィデリティ投信入社。
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