はじめに
トランプ大統領は日本時間6月24日に、イスラエルとイランが「完全な停戦で合意した」とSNSに投稿しました。
また、両国の停戦に関する報道を受け、米原油先物価格は一時、前週末の終値から13%安で取引されました。
その一方で、6月8日の週は、北海ブレント原油価格が1週間で11.8%上昇しました。これは、週次のデータが取れる1982年以降で過去29番目に大きい上昇幅でした。
このように、中東情勢をめぐって、原油価格は大きく動いています。
本稿では、原油価格が大幅に上昇・下落した後の米国株式のデータを拾ってみます。なお、過去の地政学イベントと株価の関係については、以前の記事「試される覇権主義:過去の地政学リスク、地政学イベントの一覧」をご参照ください。
原油価格が大幅に上昇したあとの米大型株式のリターンは?
[図表1]は、北海ブレント原油価格が1週間で大幅に上昇した時点からのS&P500の平均リターンをみたものです。6月8日の週を除く、騰落率上位29のサンプルを使用しました。
対象期間の全サンプルの平均リターンが、それぞれ5.3%(約6ヵ月後のリターン)、10.8%(約1年後のリターン)ですから、通常を上回るリターンが出ています。
また、約1年後のリターンでみますと、29回中26回でプラスのリターンが記録されています。
原油価格が大幅に上昇したあとの米小型株式のリターンは?
小型株式ではどうでしょうか。
[図表2]は、北海ブレント原油価格が1週間で大幅に上昇した時点からの米大型株式と米小型株式の平均リターンをみたものです。前節と同じく、6月8日の週を除く、騰落率上位29のサンプルを使用しました。
米小型株式にフォーカスすると、対象期間の全サンプルの平均リターンが、それぞれ5.1%(約6ヵ月後のリターン)、10.2%(約1年後のリターン)ですから、通常を上回るリターンが出ています。
また、約1年後のリターンでみますと、29回中24回でプラスのリターンが記録されています。
米大型株式と比較すると、米小型株式は約1年後の平均リターンで優位です。