(※画像はイメージです/PIXTA)

先祖代々受け継いだ土地や建物などの資産で、家賃収入を得て楽に暮らしている……そんなイメージの「地主」。しかし、先祖や家族から受け継いできた大切な資産だからこそ、特に相続においては多くの地主が頭を抱えることに。本記事では、地主の坂井一信氏(仮名)の事例とともに地主の厄介な相続対策について、ティー・コンサル株式会社代表取締役でメガバンク・大手地銀出身の不動産鑑定士である小俣年穂氏が解説します。

定年退職後、相続について考え始めた「地主一族の当主」

私(坂井 一信)は、都内ターミナル駅から私鉄で20分ほどの「〇〇」駅周辺に古くから不動産を有しているいわゆる「地主の一族」である。

 

大学卒業後、都内の総合商社に就職し、30数年間は仕事一筋で勤務をしてきたが50代後半で役職定年を迎えた。その後は嘱託社員として数年間勤務したが、昨年末でサラリーマンとしての人生に終止符を打った。

 

今年63歳となるが、仕事を引退し時間もできたことから次世代へ円滑に承継させる準備を開始したいと考えている。私が承継したときの苦労を次世代にはさせたくないことが理由だ。

 

坂井家は駅周辺に多く在住しており、地元ではそれなりに名の知れた一族である。私の一族は坂井家の「分家筋」にあたり、不動産を複数所有し承継してきた。

 

私の父は13代目であったが、10年前に突然体調を悪くし他界した。母親もその前年に他界しており、結果としては母を追うような形であった。

 

坂井家は長寿の家系であり祖父母は90代まで長生きしていたことから、父親としても予想外であったと思われ、残念ながらいろいろと探してみたものの「遺言」の準備はしていなかった。

 

したがって、弟との遺産分割協議においては大変難儀したが、最終的には弟に金融資産を多く渡し、長男である私のほうが不動産(借入金も含む)を承継することで調整した。

 

相続税については、亡くなる数年前に父親名義で賃貸マンションの建築を行ったところであり、多くの借入金が残っていたことから手元の資金でなんとか納税することができた。ただし、私が老後の資金として働いて蓄えてきた預金の大半は相続税の納税資金として消えてしまったが。

 

当時、私は商社の管理職として忙しい日々を送っていたことから相続税の申告は税理士に任せっきりであり、週末に弟と分割について話し合いに注力し、あっという間に納税期限の10ヵ月を迎えたような状態であった。

 

したがって、その際には相続税の申告書をじっくりと見る機会がなかったが、今年に入って時間もできたため、長らくしまってあった当時の申告書を引っ張り出した。私の相続対策の下準備として、自分なりに現状把握から始めることにした。

 

 

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