順調に土台を築き上げ、遺言も作成
会議を終えたあと、一信は真田と里見とで法人化ならびに資金調達、NO3の駐車場についての賃貸マンション建築、孫との養子縁組を順調に進めた。
なお、養子縁組については孫が未成年であることから長男にも法定代理人として協力をしてもらった。その他、「無償返還の届出」なども漏れなく対応をした。
いよいよ土台が仕上がったことから公正証書による遺言作成に着手した。内容については、以前実施した家族会議の内容と同様の形とした。長女や次男からは個別にそこまでお金は必要ないとの申し出を受けていたが、約束したことであるからと当初の内容で進めることとした。
また、妻が先に逝去する場合も鑑み、その場合の配分についても条件付きとして取り決めを行った。
作成にあたって、最も時間をかけたことが遺言の最後にメッセージとして残す「付言」であった。真田からも円滑な承継の実現にもっとも重要な内容であるから、時間をかけても構わないので納得のいくまで何度も検討を重ねて欲しいといわれていた。
長男に対して
一族の中心としてみなを支えて欲しいこと。承継をするにあたっては苦労を伴うが長男であればできると確信していること。法人を活用して、より円滑に承継をできるような仕組みを作っていって欲しいこと。いままでの長男の努力や物事に対する姿勢など素晴らしい大人に育ってくれたと感謝していることなどを記載した。
長女に対して
困ったときには長男を支えて欲しいこと。家族会議の際に、自分の姿を見ていてくれていたことや、資産もそこまでは不要であるなど、他人を思いやる姿勢に感動したこと。長女一家がより幸せになることを祈っていることなどを記載した。
次男に対して
長女同様に長男が困難な際にはいい相談役になってほしいこと。法人の維持や発展には次男の力が不可欠であると考えていること。一番近くで、我々両親のことを大切にしてくれ支えてくれていたことに感謝していること。幸せな人生を送ってほしいことなどを記載した。
いままでのことを振り返り文字に起こすことで頭の整理もよくできた。仕事が忙しく家族のことも妻に任せっきりであったことから、今後は妻と余生を楽しむため早速旅行の予定を考え始めた。
まとめ:課題の整理~対策実行まで、しっかり行動に移す
・課題の整理から課題への対策実行までを先送りせず、しっかりと行動に移すこと
・将来の揉めごとを排除する意味でも生前から自分の考えを家族内に共有すること
・相続資産が不動産の場合は平等に配分することは困難であることから、遺留分を考えた承継を前提としておくこと
・遺言には自分の気持ちを付言としてしっかりと残しておくこと
以上のポイントを押さえることが重要である。
小俣 年穂
ティー・コンサル株式会社
代表取締役
<保有資格>
不動産鑑定士
一級ファイナンシャル・プランニング技能士
宅地建物取引士
>>12/11開催セミナー
『家賃収入はどうなる?節目を迎える不動産投資
“金利上昇局面”におけるアパートローンについて
元メガバンカー×不動産鑑定士が徹底検討』
カメハメハ倶楽部セミナー・イベント
【1/7開催】<令和7年度>
税制改正大綱を徹底解説
最新情報から見る資産運用への影響と対策
【1/8開催】オルカン、S&P500…
「新NISA」の最適な投資対象とは
金融資産1億円以上の方だからできる活用法
【1/9開催】2025年の幕開け、どうなる?日本株
長いデフレ環境を生き抜いたスパークスが考える
魅力的な企業への「長期集中投資」
【1/9開催】相続人の頭を悩ませ続ける
「共有名義不動産」の出口は“売却”だけじゃない!
問題点と最新の解決策を藤宮浩氏が特別解説
【1/12開催】相続税の
「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【見逃し配信special】