「親と同居している相続人がいる場合」のトラブル事例
親と同居している子がいる場合には親との距離が近いため、同居していない子と相続発生後にトラブルになる可能性が高くなります。この章では親の介護をして貢献している相続人がいるケースと、反対に親の財産を使い込んでしまっている相続人がいるケースでの相続トラブル事例を解説します。
ケース3:長男が親の面倒をみている
家族構成:母、長男、次男
母の資産状況:預貯金(3,000万円)
その他:長男が母の面倒を長年みており、次男は疎遠。
発生した相続トラブル:
【発生した相続トラブル】
母の相続開始後、次男が自らの法定相続分である1/2の権利を主張。長年母親の面倒を看てきた長男としては納得がいかず相続トラブルに発展。
【原因】
民法では親の介護をした相続人が多くの相続分を主張できるという決まりがないため、このような問題が発生します。亡くなった方の財産の維持・増加に特別の貢献があった場合に「寄与分」という特別の権利が認められてはいるものの、単に親の介護をしていただけでは不十分で、たとえば親の介護費用を子が捻出していたような場合に初めてその分の権利が認められます。
【予防策】
特別に世話になった子等の相続人がいる場合には、遺言を残してあげることでより多くの財産を、渡したい相続人に渡すことができます。遺言を作成しておいた方がよい典型的なケースとなります。また生命保険に加入して受取人を渡したい人に指定しておけば、確実に渡すことができるため活用するとよいでしょう。
ケース4:同居をしている次女が親の財産を使いこんでいる
家族構成:父、母、長女、次女
父・母の資産状況:自宅、賃貸マンション、預貯金
その他:長女は結婚して家を出ており、同居の次女が親のお金を使いこんでいる
【発生した相続トラブル】
認知症気味で判断能力が低下していた親の財産を同居の次女が使い込んでしまっていたため、親の死後、長女が次女に対して使い込んでいたお金も含めて権利を主張して争いに発展。
【原因】
認知症等によって判断能力が低下している高齢者の場合には、たとえ子であっても使用状況が分からないことや財布の紐が緩くなってしまうことがよくあり、同居している子が親の財産を勝手に使い込んでしまい後日トラブルとなることが多くあります。
【予防策】
認知症等により意思能力が低下している親がいる場合で財産管理に不安があるようなケースでは、成年後見制度を利用することで子の勝手な使い込みを防ぐことができます。
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