※画像はイメージです/PIXTA

相続には、トラブルになりやすいパターンがあります。どのような場合にトラブルになるのか、その原因と対策を知っておくことは、トラブル回避の第一歩になります。みていきましょう。

「離婚歴がある場合」の相続トラブル事例

離婚歴がある場合、前妻の子や後妻との関係等で相続に大きな影響を及ぼします。ここからは離婚歴がある場合に起きる相続トラブルの事例について解説していきます。

 

ケース5:前妻の子と後妻の子の争い

家族構成:父、前妻の子、後妻の子

父の資産状況:自宅、有価証券、預貯金

その他:後妻の子は前妻の子の存在を知らされておらず、父の相続発生後に初めて前妻の子が現れた。

 

【発生した相続トラブル】

後妻の子は前妻の子の存在を知らず父の財産は100%自分のものと思っていたが、後妻の子の出現により相続分が50%になり納得ができず相続トラブルに発展。

 

【原因】

父が子に離婚歴や前妻の子の存在を後妻の子に知らせていなかったため、突然現れた前妻の子の出現により相続トラブルに発展してしまっています。

 

【予防策】

離婚歴があり前妻・後妻それぞれに子がいるような場合には子が知らないもしくは知っていても面識がないことにより、相続発生後にそれぞれが権利を主張して争いごとに発展しやすくなります。ここでも予防策としては遺言の作成が必須となるでしょう。遺言があることで双方の子が顔を合わせることなく相続手続きを進めることができますので、相続発生後の手続きもスムーズになります。

 

ケース6:ホステスの後妻出現

家族構成:父、母(死去)、長女、後妻

父の資産状況:自宅、有価証券、預貯金

その他:長女は後妻の存在を知らない。後妻は父よりも30歳若い外国籍の人。

 

【発生した相続トラブル】

相続が発生する1年前に父が30歳も若い、飲み屋で知り合った外国籍の女性と婚姻関係を結んでいたことが分かり、長女は父の財産狙いの結婚であり後妻に財産を相続させたくないと主張し相続トラブルに発展。

 

【原因】

長女の立場からは財産狙いの戦略結婚だと思われ、後妻には1円も渡しくないという心情面の理由から相続トラブルに発生してしまいます。

 

 

【予防策】

結婚する意思は当人の自由ですから子の立場としてはどうすることもできませんが、遺言の作成が望まれます。また遺言の最後に付言事項といって財産の分け方以外にも相続人に届けたい想いや気持ちを記載することができますので、生前に伝えることができなかったことを付言事項に記載して説明することで遺された遺族が納得できることも多くあります。

 

ケース7:内縁の妻は1円も財産がもらえない

家族構成:本人、内縁の妻

本人の資産状況:自宅、預貯金

その他:本人と内縁の妻との間に子はいない

 

 

【発生した相続トラブル】

本人死亡後に長年連れ添った内縁の妻が財産を相続しようとしたところ、相続権がないことが分かり本人の兄弟に財産を持っていかれることになり相続トラブルに発展。

 

【原因】

内縁の妻、つまり婚姻関係にない男女は法律上は夫婦とは認めらず内縁の妻には基本的には相続権が発生しません。それを認識していなかったことから、内縁の妻と法律上の相続人との間で相続トラブルが発生しました。

 

【予防策】

内縁の妻には相続権が法律上発生しないことから、財産を遺したいのであれば婚姻届を提出するか、遺言の作成は必須です。本ケースでも仮に遺言で内縁の妻に遺産をすべて相続させると書いていれば兄弟姉妹には遺留分がないため、遺産全額を内縁の妻に相続させることが可能となります。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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