※画像はイメージです/PIXTA

相続には、トラブルになりやすいパターンがあります。どのような場合にトラブルになるのか、その原因と対策を知っておくことは、トラブル回避の第一歩になります。みていきましょう。

「不動産を所有している場合」のトラブル事例

相続トラブルの多くは「不動産」が関係してきます。不動産は現預金と違ってすぐに分けたり譲渡したりすることが難しく、また実際の居住状況や共有の有無等によっても様々なトラブルが発生します。この章では不動産に関係した相続トラブル事例について解説します。

 

ケース1:不動産が自宅1つしかない

家族構成:父、長男、次男

父の資産状況:自宅(時価3,000万円)、預貯金1,000万円

その他:長男が、母亡き後も父と同居している

 

【発生した相続トラブル】

父の相続後に長男と次男で遺産分割協議を行う際に、次男が法定相続分である50%を主張。父と同居し今後も居住を継続していきたい長男は50%ではなく、預貯金1,000万円だけにしてほしいと主張するが次男は受け入れず相続トラブルに発展。

 

【原因】

不動産が自宅一つしかなく金融資産が少ない場合には、どうしても自宅を相続する相続人の相続割合が多くなり他の相続人に不平等な内容になってしまいます。自宅が相続発生後に空き家になるのであれば、売却して換金したお金を分けることもできますが、相続人が居住しているケースでは売却も難しく、相続トラブルに発展しがちです。

 

【予防策】

父が生前に、自宅を長男に、預貯金を次男に相続させるという内容の遺言を残しておけば、長男が困ることはありません。また次男の遺留分(法律上最低限認められている権利)も法定相続分である1/2の半分の1/4となりますので、総財産4,000万円の1/4で1,000万円となり次男としても長男に自宅分の権利を主張できなくなります。これにより長男は自宅を相続でき居住を継続していくことが可能となります。

 

ケース2:財産の大半が不動産

家族構成:父、母、長男、長女、次女

父の資産状況:自宅(時価5,000万円)、賃貸マンション一棟(時価1億円)、駐車場(時価4,000万円)、預貯金(500万円)

その他:賃貸マンションは満室で収益性がよく、駐車場は4割ほど空いている

 

【発生した相続トラブル】

複数ある不動産の中から相続人それぞれが賃料収入がある賃貸マンションの相続を希望したため、遺産分割がまとまらずトラブルに発展。

 

【原因】

財産の大半が不動産である場合には、どの不動産を相続するかによって時価や賃料収入等で不公平感が出やすくなってしまうことが主な原因です。また不動産は現預金と違い分割が難しく、共有状態にしたとしても後々に権利関係でトラブルになりやすい財産です。

 

【予防策】

複数の不動産を相続人に公平に相続させることが難しい場合には、売却や組み替えを行い同じような資産価値の不動産を所有する状態に整理するとよいでしょう。このケースの場合には賃貸マンションの価値が高すぎるため、駐車場も併せて売却を行い子ども3人にそれぞれマンションを残すといった方法も考えられます。また不動産が遺産の中にある場合には無用なトラブルを避けるためにも遺言を作成することが望まれます。

 

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次ページ「親と同居している相続人がいる場合」のトラブル事例(ケース3~4)

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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