(※写真はイメージです/PIXTA)

大学病院なら高度ながん治療を受けられると盲信している日本人が少なくありません。しかし大学病院で適切な治療を受けられるとは限りません。人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『シャキッと75歳 ヨボヨボ75歳 80歳の壁を超える「足し算」健康術』(マキノ出版)で解説します。

大切にすべきは、個々人の生活の質

■医者に手抜きをしないで真剣に治療してもらうコツ

 

それでもやっぱり大学病院で、がんの手術を受けたいと思う人もいるかもしれません。病院選びのコツは、その大学病院の病気別の手術成績をチェックすることです。

 

大学病院はインターネットで手術の実績を公開しています。手術成績のよい病院を確認したら、その後のフォローもよいか調べたうえで、がんを告知された病院で紹介状を書いてもらい受診するといいでしょう。

 

大学病院の医師に真剣に治療に取り組んでもらう方法もお教えしましょう。

 

医師がいちばん恐れるのは医療過誤で訴えられることです。

 

そこで、「うちは知り合いに弁護士がいっぱいいましてね」と、失敗したら訴えますよという態度でのぞむのです。会話をICレコーダーで録音するのもいいでしょう。あるいは、いろいろ調べた資料を並べて話をするという方法もあります。

 

なかには怒る医師もいるかもしれませんが、手抜きをしたら訴えられると思うので真剣に対応してくれます。

 

■「引き算医療」で頭はぼんやり体はヨボヨボでいいのか?

 

70歳を過ぎたら健康診断は受けなくてもいい、と私は考えています。

 

なぜなら、血糖値や血圧をどのくらい下げたら健康になるのか、下げたあとの健康状態はいいのか悪いのか、死亡率は上がるのか下がるのかといったことを、15年、20年と長期に追跡した大規模調査が日本にはないからです。薬を飲んで異常値を正常値に戻しても、長生きできるという日本人のエビデンスはゼロだということです。

 

私が、「日本は大規模調査を行わずエビデンスがない」と言うと、「いや、海外でのエビデンスがありますよ。和田さん、そんなことも知らないのですか」と医学界から反論が返ってきます。

 

先述したように、海外と日本とは疾病構造(国民全体の中での疾病の種類や量、傾向など)や栄養状態、遺伝子が全部違います。それでも海外のデータが当てにできるというのなら、なぜ欧米で開発された新薬について日本人を対象とした治験をわざわざ行うのでしょうか? つじつまが合いません。

 

確固たるエビデンスがない以上、大切にすべきは、個々人の生活の質だと私は考えています。

 

医師の指導に従って引き算医療を続け、20年長く生きられたとします。けれど、頭がぼんやりしてヨボヨボした状態になり、やがて寝たきりになってしまったら……。そんな余生でいいのか? と考えてみることです。

 

私が提案する足りないものを足していく「足し算」健康術も、エビデンスはありません。長生きできる保証もありません。

 

しかし、医師としての経験上ひとつ言えることは、「足し算」健康術を実践すれば栄養状態がよくなり、免役力もアップする、病気にたいする抵抗力がついて、シャキッと元気に過ごせるということです。

 

病院にかかるときは医師の言うことを鵜呑みにせず、まず「自分で考える」「体の声を聴く」という習慣をつけて、ご自身の体を守ることが大切です。

 

和田 秀樹
ルネクリニック東京院 院長

 

 

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※本連載は和田秀樹氏の著書『シャキッと75歳 ヨボヨボ75歳 80歳の壁を超える「足し算」健康術』(マキノ出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

シャキッと75歳 ヨボヨボ75歳 80歳の壁を超える「足し算」健康術

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