(写真はイメージです/PIXTA)

インフレや金融政策動向が見通し難いなか、米国経済の見通しは非常に不透明です。はたして、2023年はどうなるのでしょうか。株式ストラテジストのニッセイ基礎研究所、窪谷 浩氏の分析です。

【金融政策】政策金利は22年末が4.50%、23年末が5.0%、24年末が3.5%を予想

FRBはインフレが一時40年半ぶりの水準に加速する一方、失業率が過去50年で最も低い水準に近いことを受けて、金融政策運営においてインフレを抑制するために前述のように90年代以降で最も早いペースで政策金利の引上げを実施したほか、今後も金融引締めを継続する姿勢を明確にしている。

 

また、11月のFOMC会合後に行われたFRBのパウエル議長の記者会見や公開された議事要旨では、政策金利の引上げペースを減速させる一方、FF金利の最終的な到達水準は9月会合後に示された見通しより高くなる可能性が示された。このため、12月会合では政策金利の引上げ幅が前回の0.75%から0.5%に縮小されることが見込まれる一方、12月会合後に発表されるFOMC参加者の政策金利見通し(中央値)は9月時点の予想である23年末の4.6%から上方修正されよう(図表20)

 

【図表20】
【図表20】

 

当研究所は12月会合で政策金利が0.5%引上げられた後、インフレ率は物価目標を大幅に上回るものの、インフレ率の低下基調が持続しするほか、米国経済が景気後退に陥ることから、23年は2月と3月の会合で利上げ幅をそれぞれ0.25%にさらに縮小し、その後は23年を通じて政策金利を据え置くと予想する。

 

一方、24年入り後は消費者物価のコアインフレ率が2%台半ば近辺とFRBの物価目標(PCE価格指数で2%、CPI換算では2.3%程度)の達成が視野に入ることから、FRBは24年1-3月期に利下げに転じ、インフレ率が物価目標水準に低下する中、景気浮揚のために24年は合計1.5%ポイント引き下げ、24年末の政策金利を3.5%に低下させよう。

 

一方、バランスシート政策については、FRBは償還金を再投資しない形で米国債とMBS債の合計で9月以降は月950億ドルのペースで縮小させている。パウエル議長はこれまで金融政策の調整手段は一義的には政策金利としているため、バランスシートの縮小金額を機動的に調整する可能性は低いだろう。このため、当面FRBは月950億ドルの削減ペースを維持するとみられる。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年12月9日に公開したレポートを転載したものです。

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